自社の立場を明確にして差別化を図ろう！ホテル・旅館のポジショニング

ホテルや旅館のマーケティングを考えていくうえで、ポジショニングというのは非常に重要になってきます。

ホテルや旅館が同じ観光地の周辺にある競合他社や同じような客層をターゲットとしている競合他社との差別化を図るためには、自社の強みや弱みを把握し、市場での立場を明確にしていかなければなりません。

本記事では、競合他社との差別化を図る上で大切になってくる、ホテルや旅館のポジショニングについて解説していきます。

ポジショニングとは？

ポジショニングは、そのまま日本語に直訳すると「位置取り」となりますが、顧客から見て、競合他社から見て、また市場全体から見て自社がどのような立ち位置にあるのかということを明確にしていくという作業になります。

ポジショニングは、顧客の目線に立ったときにそのホテルや旅館にどのような特徴があって、他のホテルや旅館とはどのような違いがあるのかをアピールし、印象付けていくために必要不可欠なものです。
ポジショニングは、決して私たちの目に見えるものではありませんが、そのホテルや旅館の顧客からの第一印象や今後の経営方針を決定づける大変重要なものになってきます。

ポジショニングは、基本的にはSTP分析と呼ばれるマーケティング分析の枠組みのひとつで、セグメンテーション（市場細分化。自社が置かれている市場を細かく分析し、自社が獲得し得る顧客層の条件を考える分析の枠組み）、ターゲティング（自社がどのような客層のニーズを獲得できる可能性が最も高いかを考える分析の枠組み）の後に行います。

市場について知り、顧客について知ったうえで、自社が市場のなかでどのようなふるまいをすれば良いのかを決めていくために必要な過程がポジショニングなのです。

ポジショニングを行う意味とホテル・旅館の差別化

ホテルや旅館が市場での差別化を図っていくうえで非常に重要になってくるポジショニングですが、この作業を行うことにはどのような意味があるのでしょうか。

まずひとつは、自社の強みを見つけることです。
ほかの競合他社にはない自社の強みを見つけることで、顧客にどのように自社の魅力をアピールしていくのかということを考えていきます。

もうひとつは、自社の弱みを見つけることです。
自社の強みを見出してそれを顧客へアピールしていくことは、マーケティング戦略を考える上でもちろん大切なことですが、同時に自社の弱みにどう向き合い、それに対処していくのかというのも大きな課題になってきます。

自社の弱みというものは、基本的には強みでそれを補ったり、うまくそれを見せないようにしたりして対処していくものですが、逆手にとって強みに変えていくという方法もあります。
それぞれのホテルや旅館によって、また弱みの内容によって対処の仕方は変わってくるかと思いますが、これらから逃げることなく向き合うことが大切です。

ポジショニングをしっかりと行っていくことで、競合他社との違いを明確にし、そのホテルや旅館が独自のスタンスで顧客に支持されていくようになります。

ポジショニングを考えていく軸

ポジショニングを考えていく際の4つの軸についてそれぞれ見ていこうと思います。

ターゲットのサイズ

あまりにも需要が低いところにポジショニングしても宿泊予約数は増加しません。
また、需要が高い場所は、顧客のニーズが高い分、競合他社との競争率も非常に高くなってきます。

自社の強みや弱みも把握したうえで、適切なターゲットのサイズであるのかを考えたうえでポジショニングを行っていく必要があります。

顧客への伝わりやすさ

ホテルや旅館がそれぞれ定めたポジショニングが、顧客の視点から立って見たときにわかりにくくなってしまうような独りよがりのものになってしまってはいけません。
市場においてどのような立ち位置で宿泊プランを打ち出していくのかが顧客に明確に伝わるかどうかも重要なポイントです。

顧客がそれに共感するか

ポジショニングは、顧客にとってわかりやすいだけでなく、顧客に共感され、顧客にとって魅力的なものでなければなりません。
「伝わりやすさ」だけでなく「共感を呼ぶことができるか」という観点においても、ホテルや旅館側の視点だけでなく、顧客側の視点を持つことが重要です。

経営理念などとの整合性がとれるか

ここまで、いかに市場に適応していきながら顧客へアピールしていくのかということを書いてきましたが、最も重要なことはそのホテルや旅館の経営理念などと整合性がとれるのかどうかということです。
一本筋の通った理念を持ちながら、宿泊数の増加と顧客満足度の上昇に向けて邁進していきましょう。

まとめ

ホテルや旅館におけるポジショニングの重要性とそれを考えていくための4つの軸について解説していきました。

ポジショニングをしっかりと行うことで、競合他社からの差別化を図り、市場においてどのような立ち位置に立っていくのかについて考えていきましょう。

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