その土地の文化を体験する―文化観光とホテル・旅館

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文化観光

「文化観光」という言葉をご存知でしょうか。

ひと昔前までは、国内においても、国外においても、大人数で移動し、宿泊する「マスツーリズム」と呼ばれる、いわゆるツアーでの観光が一般的でした。

しかし、近年では、価値観の変容と需要の移り変わりから、それぞれが目的を持って観光をするという「ニューツーリズム」と呼ばれるものが主流になってきています。

本記事では、そんなニューツーリズムのひとつである文化観光について解説します。

文化観光とは?

文化観光は、「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案(文部科学省)」のなかで、以下のように定義されています。

「文化観光」「文化観光拠点施設」の定義

文化観光:文化資源の観覧等を通じて、文化についての理解を深めることを目的とする観光
文化観光拠点施設:以下を満たし、地域における文化観光の推進の拠点となるもの
①文化資源の保存及び活用を行う施設(文化資源保存活用施設※1)のうち、
②観光旅客が文化について理解を深めることに資するよう解説・紹介するとともに
③文化観光の推進に関する事業を行うもの(文化観光推進事業者※2)と連携するもの

※1 博物館、美術館、寺社仏閣等
※2 観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、旅行会社等

国土交通省 – 文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律の概要

平たく言うと、文化観光とは、単に観光地を見てまわるだけでなく、文化資源についての理解を促すような解説や紹介を行い、観光客が文化について理解を深めることを目的とする観光形態だということです。

マスツーリズムのなかでは、誰もが一生に一度は訪れてみたいと考えているようなポピュラーな観光地に行くことそのものを目的とし、そこで写真を撮ったり、買い物を楽しんだりすることで旅行が終わってしまっていました。

旅行の目的が多様化した現代において、単に物見遊山的な観光を行うだけでなく、その土地の文化を学び、理解するということを目的とする観光客をターゲットに据えたものが、文化観光になります。

文化観光はなぜ推し進められているのか?

なぜ政府がこのような政策に乗り出したのかというと、2021年に開催された東京オリンピックや2025年に開催される大阪万博を意識したインバウンド需要への期待も大きいでしょうが、文化財の認知度を高めるとともに、保全活動を積極的に行っていくという狙いもあると思われます。

日本各地には、何百年、なかには千年以上もの歳月を重ねてきた文化財が数多く存在します。
しかし、その保全や保護の活動を管理団体だけで行っていくには限度があるのです。

国もできるだけ支援を行っていますが、それでも認知度の低い文化財を保全するために費用を工面するのは決して容易なことではありません。

文化観光を通じてその存在を知ってもらうことで、修理や修繕のための資金集めもスムーズになりますし、その土地を観光してもらうことで、地域全体の経済が活性化し、文化財を保全する土壌が出来上がっていくことになります。

文化財は、ただ漠然とそこにあるのではありません。
長い間、それを守り継いできた人々の努力によって、今日の我々が調査し、研究することができるのです。

意思を持って守られてきた文化財を後世へ伝えていく手段として、文化観光という形が生まれたのです。

文化観光の具体例

ここからは、文化観光には具体的にどのような事例があるのかについて見ていきましょう。

まずは、「文化」と聞いて多くの人が思い浮かべるであろう、神社仏閣についてです。
我が国の歴史と、神社やお寺といった昔からの土着信仰や政治と深く結びついた場所は、切っても切れない関係にあります。

神社は、古くから私たちの暮らしに深く結びついており、四季折々のさまざまな行事が日々行われている場所です。
そこで行われている例大祭などを見学するだけでも、その土地の文化が見えてきますし、境内のいたるところには、祀られている神様を解説する立札が散見されます。

また、神主さんや巫女さん、地域のボランティア活動の方々などが、その歴史について解説するツアーなども開催されています。

お寺では、昔から庶民に向けてお坊さんがお説法をするという文化がありました。
そのお寺に伝わる逸話を、誰もが話しに聞き入りやすいようにユーモアを交えながら解説するお説法は、各地で名物のようなものになっています。

最近では、座禅体験や写経体験など、修行の一部を体験して精神統一をするというのも人気です。

また、着物を着て歴史情緒のある街を練り歩くというのも人気の体験です。
主要な観光地では、外国人観光客向けの貸衣装店が数多く見受けられますが、外国人観光客だけでなく、最近ではSNSを通じて若い世代にも、着物姿での観光が注目を集めています。

文化観光とホテル・旅館

ではホテルや旅館は、文化観光にどう関わっていけば良いのでしょうか。

まず、ホテルや旅館自体に長い歴史がある場合は、それに関する館内ツアーや地域との繋がりなどを紹介していくと良いでしょう。
今いる場所がどのような歴史を辿ってきたのかを知るだけでも気持ちが高揚しますし、ホームページなどに掲載すれば宣伝にもなります。

ホテルや旅館自体に深い歴史がなくとも、伝統工芸品のクラフトショップを開いたり、郷土史関する講演会を開いたりするなど、その土地の文化や歴史を伝える手立てはたくさんあります。

まとめ

文化観光について解説しました。

観光客の方にその土地の文化について知ってもらうことで、地域の文化資源を守り、経済の活性化を目指しましょう!

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