現存する日本最古の木造天守―国宝・犬山城を徹底解説!

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現存する日本最古の木造天守 国宝・犬山城

現存する12の天守閣のなかでも最も古い犬山城。
織田信長の叔父によって築かれ乱世に翻弄された犬山城は、江戸時代やそれ以降の激動の時代を経てもなお生き残り、今日私たちが目にすることができています。

歴史ある犬山城は一見地味に見えるかもしれませんが、その実とてもデザイン性の高いお城。
細かい部分にさまざまなこだわりが詰まっており、周囲の景観も相まってとても写真映えします。

本記事では、犬山城の歴史や見どころを通して、その魅力に迫っていきたいと思います。

貴重な現存天守を持つ犬山城と犬山観光

築城当時の天守閣が現存し、その歴史資料的価値などが認められ、国宝にも指定されています。

城自体に非常に大きな価値があり、とても見応えがありますが、周辺の観光地が充実しているのも犬山城の特徴のひとつ。
城下町に当たるエリアはお城を中心に観光地としてよく整備されており、お食事処や土産物店などが立ち並んでいます。

着物を着て観光することもできるので、友達やカップルなどで来ても楽しめるかと思います。

また、犬山と言えば1300年続く「木曽川鵜飼」。
観覧船で食事を楽しみながら鵜飼いを見学することができるコースもあります。
お城をバックにした鵜飼いはとても風情があり、ぜひ一度見てみたいものです。

犬山城のはじまりと戦国乱世

犬山城は、15世紀に織田氏が築いた砦が原型であると言われています。
それを、織田信長の叔父にあたる織田信康が入城した際に、現在の犬山城にだいぶ近いかたちにまで作り上げたそうです。

現在残っている天守の2階部分までは信康の時代のものであろうと言われています。
戦国乱世の真っ只中にできた犬山城は、ここから何度も城主が変わります。

まず、信康は美濃攻めのおりに討ち死。
信康の嫡男・信清が城主を務めますが、ほどなくして信長と敵対し、城を追われて甲斐国へ逃亡します。

その数年後には姉川の戦いで功績があった、信長の乳兄弟・池田恒興が、その10年後には信長の息子のひとりである信房(勝重)が城主に。
信房は信長が打たれた本能寺の変の際、兄で信長の嫡男であった信忠と京におり、明智光秀に討ち取られてしまいました。

その後も豊臣系大名を中心に度々城主が変わり、犬山城は業火に焼かれることこそなかったものの、乱世をつぶさに見てきた城であると言えます。
近年の研究によれば、このあたりの16世紀末期ごろに現在の天守が完成したのではないかという説もあり城主の移り変わりが激しい分、正確な年代はわかっていません。

いずれにせよ、関ヶ原の戦い以前にはすでに今のかたちになっていたという見方が一般的です。

犬山城と成瀬家

関ヶ原の戦いにおいて、犬山城には西軍の諸将が詰めていたようですが、いずれも東軍に降伏し、松平忠吉の家老である小笠原氏が、その数年後には平岩氏が城主となります。

その後は尾張藩家老の成瀬氏が犬山城主を代々務め、明治維新を迎えました。

廃藩置県と廃城令により、犬山城は愛知県が所有し、天守閣以外の建物はすべて取り壊されてしまいます。
通常はこのまま県が所有し続けるところですが、明治時代に相次いで起こった天災によるダメージを修復することが困難であった愛知県は、遺構の修繕を条件に犬山城を再び成瀬氏の所有としました。

明治時代以降、お城が個人の所有物となる例は国内においては非常に珍しいものでしたが、成瀬氏は犬山城が国宝になった後も平成まで建物の保全をしっかりと行っています。

ですが、やはり個人が文化財を保有するには限度があり、莫大な維持費がかかることなどを理由に成瀬氏は犬山城を財団法人犬山白帝文庫に移管。
犬山城は法人所有となりますが、今も成瀬氏が中心になって保全のために尽くしているそうです。

犬山城の見どころ

さいごに、犬山城の見どころをご紹介していきたいと思います。

天守閣(外観)

まずは、天守閣の外観から。

木曽川に面した崖の上に位置する望楼型天守は、大阪城のように金箔が貼られているわけでも姫路城のように真っ白なわけでもないので、少し地味にも見えるかもしれませんが、とてもこだわって造られています。

特に天守最上階の華頭窓が印象的。
お寺などの窓に使われることが多い釣り鐘型のデザインで、実は本物の窓ではなく完全に装飾のための窓枠だけのものになっています。

天守閣(内観)

国宝にもなっている天守は外観だけでなく内観にも注目。
地下二層、地上四層の計六層構造になっており、地下層では石垣の内部を通っていくことになります。

「石落とし」などの籠城の際の備えもしっかりとされており、武具庫としての機能があったことがうかがえる場所もあるので、やはりしっかりと有事を想定した造りになっていることが感じられるでしょう。

最上階は昭和の修理の際に絨毯の生地が見つかったことから赤い絨毯が敷いてあり、ほかのお城とはまた違った雰囲気を作り出しています。

空堀

お城好きにはたまらない石垣や空堀。
犬山城には各所に石垣や空堀の遺構が点在しています。
特に黒門跡から本丸へ向かう西側を取り巻く空堀は必見です。

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