新たな事業を企画する際、事業計画書を作成するだけで何週間も何か月もかけてしまったことはありませんか?
本記事では、早ければ数時間から数日で書き上げられ、さらに視覚的に情報の整理がしやすいリーンキャンバスについて解説していきます。
リーンキャンバスとは?
リーンキャンバスとは、新しく会社などを立ち上げる場合、または新たな事業を展開していく場合にあたって、そのビジネスモデルをわかりやすく可視化するためのフレームワークのことを指します。
リーンキャンバスは、エリック・リースが2012年に発表した著書『THE LEAN STARTUP (リーン・スタートアップ)』のなかで提唱したものであるとされています。
リーンキャンバスでは、新たな会社や事業について、9つの要素から分析していくことが基本の作業になります。
9つの要素とは、
- Customer segments (顧客セグメント)
- Problem (課題)
- Unique value proposition (独自の価値提案)
- Solution (解決策)
- Channels (顧客との接点)
- Revenue streams (収益の流れ)
- Cost structure (コスト構造)
- Key metrics (主要指標)
- Unfair advantage (競合優位性)
のことです。
これらの要素からビジネスを見つめていくことで、顧客の目線に立ち、そのビジネスがどのくらい実現可能であるのかを調査していくことがリーンキャンバスを作成する目的です。
リーンキャンバスのメリット
リーンキャンバスを作成するメリットの1つ目は、そのわかりやすさにあります。
何枚もの紙に渡ってだらだらと文章を書くよりも、1枚の紙に箇条書きでまとめる方が、視覚的に情報を捉えやすくなるのです。
新しい会社や事業の要点がひと目でわかるため、自分の頭のなかを整理することはもちろん、他人に説明して共有することも容易になります。
2つ目は、素早く書き上げられることです。
冒頭でも記しましたが、数週間から数か月も作成に時間がかかる事業計画書に比べて、リーンキャンバスは数時間から数日もあれば書き上げることができます。
より迅速にビジネスを勧めなければならないときにはもってこいなフレームワークなのです。
3つ目は、コンパクトである点です。
1枚にまとめられているので、スキャンなどをして画像化すればスマートフォンやタブレット端末などでいつでも確認することができます。
また、何枚にもわたる資料よりも1枚で済むものの方が共有も容易です。
リーンキャンバスの書き方
リーンキャンバスは、新しく立ち上げる会社や事業について、その要点を1枚の紙にまとめたものです。
9つの要点を、紙を9つに区切ってそれぞれのスペースに書き込んでいきます。
製品やサービスについては左側に、市場については右側に書き、その間に「独自の価値提案」を書き込みます。
また、紙の下の方には、左の方にコストを、右の方に利益をそれぞれ書き込みましょう。
すでに9つに区切ったテンプレートがインターネット上にたくさん挙げられているので、それを使ってみてもいいかもしれません。
では、9つの要素について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
Customer segments (顧客セグメント)
顧客セグメントとは、新たに立ち上げようとしている会社や事業が想定しているターゲットのことです。
ターゲットを明確に想定することで、的確な事業内容を考案することができます。
ターゲットの層を決め、ペルソナなどを用いてしっかりと書き込みましょう。

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Problem (課題)
課題とは、ターゲットとしている対象が抱えている課題のことです。
通常は3つほど挙げておくと良いでしょう。
あまりにも大量に出てくるようであれば、ターゲットの設定がうまくいっていない証拠です。
その場合はターゲットの設定からやり直してみましょう。

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Unique value proposition (独自の価値提案)
独自の価値提案とは、新しい会社や事業が想定している競合他社との差別化がはかれるようなポイントのことを指します。
既に存在するようなビジネスを始めても、それが中長期的にうまくいく保証はありません。
競合他社との差別化は、しっかりと意識しておきましょう。
Solution (解決策)
解決策とは、2項目の「課題」で設定した顧客が抱える課題をどう解決していくかという実際の事業内容のことです。
3項目の「独自の価値提案」で示した内容をさらに具体的に固めていきましょう。
Channels (顧客との接点)
顧客との接点とは、ターゲットへのアプローチの方法を指します。
事業を展開するには、その中身も重要ですが、それをどのようにして顧客となる人に知ってもらうのかも非常に大事です。
Revenue streams (収益の流れ)
収益の流れとは、実際にどのようにして利益を出すのかということです。
「誰から」「どのようにして」という項目を意識して書き込みましょう。
Cost structure (コスト構造)
コスト構造とは、新しい会社や事業を世に打ち出す際にかかるコストのことを指します。
広告費や人件費など、なるべく具体的に考えていきましょう。
Key metrics (主要指標)
主要指標とは、ビジネスの進捗状況をわかりやすくするための指標のことです。
そのビジネスがうまくいっているのかを逐一確認しておくことはとても重要です。
Unfair advantage (競合優位性)
競合優位性とは、競合他社と比較したときに自社の強みとなるようなポイントのことです。
このポイントを中心に顧客にアピールしていきます。
まとめ
リーンキャンバスについて解説しました。
新規事業をわかりやすく可視化することで、迅速なビジネスの展開をはかりましょう。