対象の具体化で効果的な戦略立案を!ペルソナ設定について

マーケティング

対象の具体化で効果的な戦略立案 ペルソナ設定

ホテルマーケティングをするうえで、「宿泊客の立場に立って考える」ということは非常に重要なことです。
どれだけこちら側が力を尽くしたサービスや宿泊プランでも、宿泊客が満足できなければ意味がありません。

本記事では、「宿泊客の立場に立って考える」ための有効な手段の1つである、ペルソナ設定について見ていきましょう。

ペルソナ設定とは?

「ペルソナ」とはラテン語で「仮面」を表す言葉ですが、マーケティングにおいては架空の顧客像のことを指します。
サービスや宿泊プラン、イベントなどを打ち出す際にある程度ターゲットを絞って企画立案するかと思いますが、ペルソナはそのターゲットの1人の人物像を具体的に設定したものです。

以前までは「20代女性」や「家族連れ」などのターゲット設定で十分顧客想定ができていました。
しかし、ライフスタイルの多様化により、漠然としたターゲットよりも詳細な設定が必要になってきました。

消費傾向も、「周りがしていることがしてみたい」から、「周りとは違った体験がしたい」というふうに変わりつつあります。
そういった多様化と周りとの差別化志向に対応するための方法の1つとして、ターゲットだけでなくペルソナを設定するというものが生まれたのです。

ペルソナ設定とは、ターゲットのなかから何人か架空の人物を想定し、趣味や家族構成などの具体的な設定を行い、それをもとに戦略を立てるというマーケティング手法です。
一般には、7,8人のペルソナを設定すればほぼすべてのターゲットがカバーできると言われています。

ペルソナ設定の手順

では、ペルソナを設定する手順を見ていきましょう。

1. 現状の顧客について知る

まずは、過去の宿泊客のデータを見返して現状の集客状況について整理しましょう。
どの年代の宿泊客が多いのか、何人連れで来るのか、どのような目的で宿泊するのかなどを注意深く見ていきます。

2. 顧客のニーズを調査する

整理した現状の顧客のデータから、宿泊客がそのホテルや旅館に求めているものを調べましょう。
今の強みを生かすためにも、新たに強みとなるものを見出すためにも、まずは現在の顧客のニーズを知る必要があります。

3. ペルソナのパーソナルデータを作成する

おおまかな方向性が決まったら、戦略を具体的に練るためにペルソナを何人か作成していきます。
どのようにペルソナのパーソナルデータを作成すればいいのか見当もつかない、という方もいるかもしれませんが、ドラマの登場人物を設定する要領で作成するとうまくいくと言われています。

たとえば、
【旅野春子】
・32歳既婚
・夫と3歳の息子がいる
・埼玉県在住
・在宅で広告デザインをしている
・世帯年収600万円
・結婚前は旅行が趣味だったが、出産後は子育てや家事などに追われ、行けていない
のように、年齢や性別だけでなく、より人間味のあるパーソナルデータを作成していきます。

場合によっては、学歴や生い立ち、顔写真や性格、国籍などのかなり詳細な設定を盛り込むこともあるでしょう。
ペルソナは顧客であることを前提に作成しているので、どのようないきさつでそのホテルや旅館に宿泊することになったのか、というストーリーが組めるような人物設定にしましょう。
このような形で、ターゲットに該当するペルソナを7,8人作成します。

ペルソナ設定によるマーケティング

ペルソナが設定できたら、次はそれらを使ってマーケティング戦略を立てて行きましょう。

ペルソナを設定する最大の目的は、「宿泊客の立場に立って考える」ことです。
会議室などで今後の方針について担当者が考え続けていると、だんだん視野が狭くなって「担当者目線での考え」に偏ってしまいがちです。
宿泊客はどのような目的でそのホテルや旅館に来るのか、何を求めているのかを知るためには、「担当者目線での考え」から脱却し、「宿泊客の立場に立って考える」ことが重要です。

そのためにも、ターゲット設定だけでなく、1人の人間としての行動が予測しやすいペルソナ設定を行うのです。
ペルソナの1人ひとりを宿泊客だと想定し、彼ら彼女らに宿泊してもらうためにはどう宣伝すればいいのか、彼ら彼女らをどうおもてなしするのかを考えながら戦略を立てて行きます。

「宿泊客の立場に立って考える」ということ

本記事では、「宿泊客の立場に立って考える」という言葉を繰り返し使ってきました。
ホテルや旅館として、宿泊客をおもてなしするというのは大前提であり、そのことが頭から抜け落ちるということは決してないと思います。

しかし、ホテルや旅館を運営する側にいると、無意識のうちに視点が「担当者目線での考え」に偏ってしまうのは仕方がないことです。
よく「自分がそれをされたらどう感じるのか」を考えながら行動しましょうと言われるとおり、人間はどうしても自分を基軸に物事を考えてしまいがちです。

ですが、ペルソナという架空ではありますが具体的な人物を想定することで、ぼんやりとしたターゲット設定に比べると、宿泊客への感情移入が容易になります。
お客様1人ひとりに寄り添って考えるという原点に立ち返るという点でも、ペルソナ設定は非常に意味のあることです。

まとめ

ペルソナ設定について解説しました。
「宿泊客の立場に立って考える」ということを忘れずに、ペルソナ設定をうまく活用して経営戦略や企画を立てて行きましょう。

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