ホテルや旅館の経営において、顧客情報の管理はとても重要なものです。
しかし、紙やExcelを用いた顧客情報管理は業務量が膨大になる上に、ヒューマンエラーや部署間での行き違いも起きやすく、その管理体制に限界が出てきたというところも多いのではないでしょうか。
本記事では、ホテルや旅館の顧客情報の管理を効率化することができるシステムであるCRMとはどういうものなのか、またCRMを導入するとどのようなメリットがあるかについて解説していきます。
CRMとは?
CRMとは、「Customer Relationship Management 顧客関係管理」の略で、顧客に関するあらゆる情報の管理や、そのためのシステムのことを指します。
顧客情報にはさまざまなものがあり、ホテルや旅館では、顧客のパーソナルデータ、宿泊予約に至るまでの経路、宿泊期間中の顧客満足度、宿泊客とスタッフのコミュニケーションの様子や関係性などが挙げられます。
従来は台帳などの紙やExcelを用いて手動で顧客情報を管理することがほとんどでしたが、その管理に膨大な時間と手間がかかることや、分析しなければならない情報の種類の増加などから、管理の効率化や一元化が求められているのです。
CRMを導入して効率的に情報を管理し、顧客についてさらに高度に分析を行うことで、ホスピタリティを高めて顧客満足度を上げ、ホテルや旅館の今後のマーケティング戦略や経営方針についてさまざまな角度からの検討が可能になります。
CRMを導入するメリット
では、ホテルや旅館がCRMを導入することにはどのようなメリットが考えられるのでしょうか。
業務の効率化ができる
従来の紙やExcelを利用した手動の管理では、どうしても業務量が膨大なものになってしまい、時間や手間が際限無くかかってしまっていました。
CRMを導入して一括で自動的に顧客情報を管理することで、顧客情報管理に関する業務の効率化や、それにかかる時間や人材の有効活用が可能です。
CRMはリアルタイムですべての情報を管理しているので、急な変更や顧客からの問い合わせにも素早く対応することができます。
また、手動での入力作業にはヒューマンエラーが付き物です。
CRMを用いて自動で情報を管理することで、入力ミスなどを防ぐことができます。
さらに、CRMは収集した情報を検索することも容易です。
欲しい情報をすぐに得ることができるというのもCRMを導入する大きなメリットと言えるでしょう。
データベースを一元化できる
CRMは、さまざまなところから得た情報を一元化して管理することができます。
従来の方法では分野や担当者ごとにファイルが分かれていたりして管理が大変でしたが、CRMはひとつのプラットフォームですべての情報を管理することができ、引継ぎや共有もスムーズになるのです。
また、インターネットでの宿泊予約が主流になりつつある今、宿泊予約の経路を手動で辿るのは困難な作業ですが、CRMならOTAや自社の宿泊予約システムの情報も自動で収集してくれます。
情報の共有のしやすさ
CRMで顧客情報を一元化することにより、情報の収集や検索以外に、共有も従来に比べて格段に容易になりました。
これまでは各部署が別々に管理していた情報をひとつに集約し、リアルタイムで管理することで、顧客情報の散在を防ぎ、急な変更などもリアルタイムですべての部署に共有することができます。
また、営業のタスクや進捗状況なども管理し、共有することができるので、うまくいっていないものについては複数人で検討して解決策を練ることもできます。
顧客とのやり取りがスムーズに行える
CRMには、顧客の年齢、性別、好みなどのさまざまなパーソナルデータが入っているので、顧客により興味を持ってもらえるようなメッセージを選んで送ることができ、結果的に次回の宿泊に繋げることができます。
DMなどのやり取りだけでなく、顧客が入力したアンケートの内容も、すぐさま集計して内容を把握できるので、すばやく現場の改善につなげることができます。
顧客情報について掘り下げやすくなる
顧客に関するさまざまな情報を一元的に管理することができるCRMでは、既存顧客の傾向について深く掘り下げていくことができます。
マーケティング方法を模索していくうえで、既存顧客の年齢、性別、収入、好みなどの情報はとても重要なものです。
既存顧客の傾向は、これから主にどのような層をターゲットにしてマーケティングを行っていくのか、どの経路からの宿泊予約の獲得に力を入れていけば良いのかを判断していく材料となります。
顧客満足度の向上を図ることができる
CRMをうまく活用して、顧客の滞在中の様子やサービス内容、宿泊後のやり取りなどを改善していくことで、顧客満足度の向上を図ることができます。
ホテルや旅館は、何よりも快適なホテルステイを提供することが使命です。
顧客からの問い合わせの内容、不満や要望、満足したことなどの情報をまとめ、参照していくことで、ホスピタリティを高め顧客満足度を向上させることができるのです。
まとめ
CRMとは何か、またホテルや旅館においてCRMを導入するメリットについて解説しました。
CRMを用いることで、効率的で正確な顧客情報管理が実現し、効果的なマーケティング、顧客満足度の向上を図ることができます。
コストなどの面からCRMの導入をためらっていたという方も、これを機に導入を検討してみてはいかがでしょうか。