新しい宿泊プランなどを考える際や既存の宿泊プランを見直す際、どうしても視点がホテルや旅館を運営する側に偏ってしまいがちです。
しかし、顧客側の視点、すなわち宿泊客側の視点も取り入れなければ、より良いサービスを提供することはできません。
本記事では、宿泊客目線での分析をするときに役立つ4C分析について解説していきます。
4C分析とは?
4C分析の4Cとは、Customer Value(顧客価値)、Cost(顧客価格)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の頭文字を取ったものです。
顧客価値は顧客がその商品に対して抱く価値を、顧客価格は顧客がその商品を購入する際に発生する費用を、利便性は顧客が商品の購入までに要する手順の単純さを、コミュニケーションは顧客と企業との間のコミュニケーションを指します。
これら4つの項目を分析するフレームワークを4C分析と呼びます。
このように、4C分析は常に顧客側の視点に立って自社分析を行っていく作業になります。
マーケティング戦略を練るときはどうしても経営者側の視点を離れることは難しいですが、4C分析などのフレームワークをうまく利用することによって、顧客側の視点も取り入れることができるようになるのです。
ホテルや旅館などのいわゆる接客業やサービス業と呼ばれる業種では、特にこの顧客側の視点が重要になってきます。
また、4C分析は自社を取り巻く状況、つまり外部環境の分析を行ってから取りかかることが望ましいです。
顧客の需要傾向は、その時の社会情勢や競合他社の動向といった外部環境に大きく左右されます。
外部環境をしっかりと分析し、顧客の動向をリサーチしてから4C分析を行うようにしましょう。
顧客側の視点に立った4Cと並行して、経営者側の視点に立った4P分析なども行うとより効果的なマーケティング戦略が打ち出せます。
ホテルマーケティングにおける4C分析とその手順
では、ホテルマーケティングにおける4C分析とはどういったものなのか、またそれを実行する手順について見ていきましょう。
Customer Value(顧客価値)
顧客価値は、その商品に対して顧客が期待するようなものについて分析していきます。
ホテルや旅館で言えば、顧客が宿泊先に求める雰囲気や体験について分析していく作業です。
宿泊客がそのホテルや旅館に求めているのは、部屋の清潔さや料理のおいしさだけではありません。
そのホテルや旅館でしか感じることのできない雰囲気やそこでしか体験できないようなことも求めているのです。
Cost(顧客価格)
顧客価格は、その商品に対して顧客がどのくらいまでお金を出せるのかについて分析していきます。
ホテルや旅館で言えば、ある宿泊プランに対して、見込みの顧客がどのくらいの価格なら宿泊を検討するのかを分析していく作業です。
そのホテルや旅館自体の魅力もそうですが、そこでしかできないような体験があると、宿泊客が出してもいいと思う価格も高くなってきます。
Convenience(利便性)
利便性は、顧客が商品を購入するまでにたどる手順や購入の際の決済の方法の便利さなどを分析していきます。
ホテルや旅館で言えば、主要な駅や観光地からの交通の便や、クレジットカードやバーコード決済などの電子決済に対応しているかなどを分析していく作業です。
交通の便が悪いからと言ってホテルや旅館の場所を移すわけにもいかないので、その場合は駅や観光地からのシャトルバスの運営なども視野にいれて分析します。
また、キャッシュレス化が進む昨今においては、電子決済に対応しているか否かは集客に大きく影響することになるでしょう。
Communication(コミュニケーション)
コミュニケーションは、顧客と企業との関わりを分析していきます。
ホテルや旅館は常に宿泊客とのコミュニケーションで成り立っている業種なので、この項目の分析は非常に重要になってくると言えるでしょう。
スタッフの愛想の良さや、何かあった時に声をかけやすい雰囲気がつくれているかなどが分析の対象です。
訪日外国人の宿泊客が多いホテルや旅館では、どこの国からの宿泊客が多いのかも踏まえて、多言語でのコミュニケーションが可能なスタッフを常に配置できているのかも分析するようにしましょう。
4C分析のポイント
4C分析を行う際のポイントについていくつか見ていきましょう。
ターゲットを明確にしてから行う
まず、どのような層をターゲットとするのかを明確にしてから分析を行いましょう。
ターゲットが曖昧だと、分析も甘いものになってしまい、その分析をもとに立てたマーケティング戦略もぼんやりとしたものになってしまいます。
自社の強みについてあらかじめ把握しておく
4C分析を行う前に、自社の強みについて把握しておきましょう。
その強みをどのようにして顧客にアピールするのかを考えながら分析を行うためです。
バランスよく分析する
どれかひとつの項目に偏るのではなく、バランスよく分析するようにしましょう。
偏った目線で物事を見るのはあまりよろしくありません。
常に顧客目線で行う
4C分析は顧客目線で自社を見つめ直すための分析です。
視点が経営者側に戻ってしまうと、分析内容がぶれてしまうことがあります。
まとめ
4C分析について解説しました。
4C分析を利用して、顧客に寄り添った自社分析を行ってみてください。