心理学と経済学の融合―ホテルマーケティングに活かせる行動経済学

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心理学と経済学の融合―ホテルマーケティングに活かせる行動経済学

ホテルや旅館のマーケティングを行う上で、理論的に戦略を練ることも大切ですが、「人」に対して宿泊プランを提供しているということを忘れてはいけません。

本記事では、「人」の心の動きとリンクした行動経済学と、それをマーケティングに活かす術について解説します。

行動経済学とは?

行動経済学とは、経済・経営学の考え方に、心理学の要素をプラスした学問体系のことです。

経済学においては、人間は合理的に行動するものだという前提に基づいてさまざまなケースを考えていきますが、「人」は常に合理的に物事を考え、動いているわけではありません。
なので、経済学だけでなく心理学の側面からも消費行動を考えていくことで、より実際の市場に近い議論を行うことができるのです。

行動経済学は比較的新しい学問ですが、ノーベル経済学賞も与えられた、世界的に注目度の高い学問です。

「人」は、同じような選択を迫られた場合でも、その時々の感情により全く異なった選択をすることがあります。
また、常に注意深く試行しながら行動しているわけではなく、直感で物事を決めることも多いはずです。

行動経済学では、そうした生身の「人」の行動を研究する学問なので、マーケティングに応用しやすいと言われています。

宿泊業と行動経済学

行動経済学は、経済学の視点からだけでなく、心理学の視点からも市場を見つめる多角的な学問です。
宿泊業のマーケティングにおいても、多角的な視点が求められています。

食品などの「物」を買うときもそうですが、ホテルや旅館の宿泊という「体験」を買うときは、「人」はより合理的な判断は取らなくなるでしょう。
単に安いだけでは集客を上げられなかったり、同じようなプランで同じような価格でも、表記の仕方などによって予約数が大きく違ってきたりすることもあります。

宿泊の目的にもよりますが、「非日常の体験がしたい」と思って宿泊予約をすることが多いホテルや旅館の場合は、特に心理学の側面が重要になってくるのです。

さまざまな角度からものごとを見つめることによって、より最適な戦略を練ることができます。

ホテルマーケティングに応用できる行動経済学

行動経済学には有名な理論がいくつかありますが、ここではその中でもホテルマーケティングに応用できそうなものをご紹介します。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に見聞きした情報がその後の意思決定の基準になってしまうという効果です。

たとえば、最初から「一泊食事つき18,000円」と提示されるのと、「一泊食事つき20,000円のところ、今なら2,000円引き」と提示されるのでは、後者の方がお得に感じてしまう、といった具合です。

宿泊予約サイトなどで取り入れると良いかもしれません。

極端の回避性

極端の回避性とは、その名の通り、極端な選択肢は避け、中くらいのものを購入するという人間の心理的傾向です。

たとえば、「甲の間 一泊30,000円 乙の間 一泊25,000円 丙の間 一泊20,000円」という価格表示だったとすると、「乙の間 一泊25,000円」を予約する人が一番多いはずです。

また、「乙の間 一泊25,000円 丙の間 一泊20,000円」とするよりも、「甲の間 一泊30,000円 乙の間 一泊25,000円 丙の間 一泊20,000円」とした方が、より多くの人が「乙の間 一泊25,000円」を予約してくれます。

選択肢の数

「7±2の原則」と言って、人間が一度に選択できる選択肢は5つから9つくらいまでと言われています。
選択肢を用意するときは3つから最高でも5つくらいが望ましいです。

想起ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、過去の体験や先入観などからおそらく正解だろうと思われる答えを導き出すことです。
日本語の「経験則」という言葉がそれに当てはまります。
いわゆる偏見や思い込み、直感といったものです。

旅行を計画するときになんとなく「ここに泊まろうかな」と想起させるためには、あらかじめそのホテルや旅館のことを知ってもらう必要があります。

SNSなどを通して、そうした潜在的な顧客を増やすのも重要なマーケティング戦略のひとつです。

ハロー効果

物事を評価する際に、目立つ対象を基準にして判断するという効果です。

ホームページや宿泊予約サイトなどに、「かの◯◯◯◯も泊まった」「◯◯賞受賞」などという煽り文句を添えると、そのホテルや旅館に対するプラスのイメージがつきます。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、周りがしていることを自分もしてみたいと思ってしまう効果です。
口コミ評価がより高かったり、口コミ件数がより多かったりするホテルや旅館に宿泊したいと思う人が多いのです。

ピークエンド効果

ピークエンド効果とは、平たく言えば「終わり良ければすべて良し」というような効果のことです。

お客様のお見送りの際などに笑顔で「ありがとうございました」と言うなど、帰り際に好印象を残すことで、「またここに宿泊したいな」と思ってもらうことができます。
リピーター確保もホテルマーケティングにおいて非常に重要です。

まとめ

行動経済学と、それを活かしたホテルマーケティングについて解説しました。

行動経済学のように、「人」が実際にどのように思考し、どのように行動するのかということも視野にいれながら経営について考えることは非常に重要です。

非合理的な思考をする「人」を相手にすることを考えながら、ホテルマーケティングをする必要があります。

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