地域に根差した観光―産業観光とは?

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産業観光

世界遺産や日本遺産として、近年各地の産業革命の跡や江戸時代のマニュファクチャリングの形跡などが登録される、あるいは登録に向けた活動が活発化されている印象があります。
そうした産業遺産や地域にある工場を観光地化して地域活性化を促そうというのが、産業観光です。

本記事では、産業観光について解説していきます。

産業観光とは?

産業観光というジャンルをご存知でしょうか?
産業観光とは、その地域に特有の産業に関わりのある工場や製品、さらには明治維新の日本における産業革命に大きく関与するような産業遺構などを観光資源にして地域活性化につなげることです。

単なる工場見学ではなく、その産業がどうして起こったのか、地域に対してどのような影響を与えているのかを知ってもらうことが、産業観光における大きな目的のひとつとしてあります。

平成18年3月に行われた「産業観光推進会議」においては、

「歴史的・文化的価値のある産業文化財(産業遺構)や工場・工房及び産業製品、コンテンツなどソフト資源を観光資源とする新しい観光形態であり、それらの価値や意味、面白さにふれることにより、人的交流を促進するもの」

と産業観光を定義しています。

つまり、産業に関わるあらゆる要素が産業観光の対象になり、考え様によってはさまざまな場所を観光地化することができます。

また、観光地を運営するためには、人件費や設備の整備費など、あらゆる面でお金がかかります。
現役で稼働している工場ならば、無料で公開したとしてもそれらの諸経費は広告料の代わりとして賄うことができるかもしれませんが、産業遺構などの現在は利用されていない建物を観光地として運営していくには、無料公開では厳しい部分が出てきます。

国や地方自治体がそれらの資金を援助していくにも限度があるので、理想は入場料や館内のレストラン、ショップなどの収益でそれらの費用を捻出できるようになるのが理想です。

このほかにも、地方における産業観光には課題が散見されますが、地元のPRや、いわゆる「負の遺産」と呼ばれるような炭鉱などがあった町のイメージアップなど、メリットとなる点も多く存在します。

産学官(産業界、学校・研究機関、区官庁)とその周辺の宿泊施設がうまく連携し、地域を盛り上げていこうという共通の目的をも持って取り組んでいくことが重要です。

産業観光の変遷

産業観光は、決して新しい概念ではありません。
「産業観光」という言葉が使われ始めたのは、20世紀末ごろからであると言われていますが、似たような概念は19世紀後半ごろからあったようです。

近代国家としての夜明けを迎え、殖産興業を掲げた日本においても、国内外の産業博覧会にかこつけた観光が現れ、戦後には「見せる」ための工場としてビールやワインの醸造所が相継いで開設されました。

次第に日本が経済成長を遂げていくと、日本の伝統的な工芸などを見学することを目的とした「工芸観光」が盛んになります。

現在では、観光客、地域、企業の三者がそれぞれに知的欲求、地域の産業振興、商品のPRを達成するとともに、海外に向けたインバウンド需要を獲得することも産業観光の目的となってきました。

これからも次々と時代が移り行くのに伴って、産業に対する人々の見方や考え方も変わっていき、産業観光の概念も変化していくのかもしれません。

産業観光と地域活性化

産業観光を行う大きな意義として、その地域の産業を広くアピールする施設を設けることで、地域の観光資源を創出し、地域の活性化につなげるというものがあります。

産業観光で見せ場となるような大規模な工場は、一般的には大都市ではなく、比較的土地がある郊外や地方に多く存在します。

地元に住んでいると「そんなところが?」というようなところが、産業観光の場として栄える可能性が大いにあります。
あまり観光資源に恵まれないと感じて悩んでいる地域でも、産業観光ならば問題解決の糸口を探ることができるのではないでしょうか。

閉鎖して久しく、廃れたような鉱山跡の町でも、それを自虐ネタのように扱って、PRに成功した町もあります。
このように、環境破壊などによってマイナスなイメージを持たれているような街でも、それをあえて産業遺構としての残し、広く公開することで、イメージの改善や知名度の向上を図ることができます。

また、産業観光によって地元の伝統工芸品を広く知ってもらうことで、その技術の継承につなげていくこともできます。
国内では関心が薄くなって久しいようなものでも、日本の伝統工芸品は非常に実用的で、さらに繊細な意匠が施されている場合が多く、外国人観光客からの評価も高いです。

一般的には外国人観光客のほうが国内旅行者よりも旅行に費やす予算が大きいと言いますから、高価なものでもある程度の数が売れるようになるケースもあるようです。

まとめ

産業観光について解説しました。

産学官が連携することで、地域の経済活動をより活発にしていきましょう!

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