BCPとは?ホテル・旅館におけるBCPの必要性と策定のステップ

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ホテル・旅館におけるBCPの必要性と策定のステップ

地震や豪雨災害など、日本は「災害大国」と呼ばれるくらい、毎年のように災害が起こる国です。

ホテルや旅館では、そうした非常時にも従業員とお客様の身の安全を確保しつつ、復旧に向けて迅速に対応していかなければなりません。
スムーズに営業再開に向けて動いていくためには、あらかじめ行動の指針を決めておく必要があります。

本記事では、非常時の行動決定の基準となる、BCPの必要性とその策定方法について、基本的なことを解説していきます。

BCPとは?

BCPとは、Business Continuity Planningの略で、日本語にするなら「事業継続計画」になります。
地震や豪雨災害などの自然災害、火災、テロ、設備事故、パンデミック、システム障害などのさまざまな非常時において、被る損害を最小限に抑え、いち早く復旧し、場合によっては代替的な利益手段を講じながら事業を継続していくために作られるのがBCPです。

あらかじめBCPを策定しておくことで、緊急時に素早く適切な対応を取ることができ、お客さまや取引先からの信頼を得ることができます。
周囲の信頼を得ることは、長期的な目で見れば事業拡大へとつながっていくため、非常時こそその対応が重要視されていると言っても過言ではありません。

内閣府では2005年の段階から「事業継続ガイドライン」を公表し、BCPの策定を強く推奨してきましたが、日本でその重要性が認識され始めたのは、2011年の東日本大震災の後です。

大きいトラブルに見舞われたときも事業を継続し、お客さまや関連業者からの信頼を得るためにも、BCPをしっかりと策定して非常時に備えましょう。

災害時のホテル・旅館の役割

ホテルや旅館といった公共施設は、地元での知名度も高く、ある程度の収容規模がありますから、従業員や宿泊しているお客さまだけではなく、近隣住民の方も避難してくる可能性があります。
その際、混乱を起こすことなく一時避難所としての受け入れを行っていかなければなりません。

国は、豪雨災害などのあらかじめ大きな被害が予想できるような際には、「分散避難」と呼ばれるものを推奨しています。
「分散避難」とは、避難所以外にも、親戚・知人宅、在宅避難、車中泊、そしてホテルなど、避難先として複数の選択肢を持ち、分散して避難することで、避難所への一極集中を防ぐ目的があります。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、災害時の避難所でのパンデミックが改めて懸念されるようになりました。
避難所の受け入れ制限を大幅に減らす自治体も多く、住民はホテルも避難先のひとつとして選択肢に加えつつあり、実際に九州の豪雨災害などでは、近隣住民が大量にホテルに避難し、一時的に宴会場を開放するようなところもあったそうです。

単に旅行者の宿泊施設としてだけでなく、緊急時の避難先の選択肢の一つとしても考えられ始めていることも念頭に置いておきましょう。

BCPの必要性

では、BCPの策定はなぜ必要なのでしょうか。

前項で解説したように、BCPは単なる災害時の対応マニュアルではなく、事業を継続していくことを目的として作られています。
非常時にも途切れることなく営業を継続し、素早く復旧していくことで、逆境をチャンスに変え、市場価値を上げ社会的信頼を得ることが、BCPを作成する最も大きな目的と言えます。

また、BCPは一度作成して終わりというものではありません。
作成されてから長い間放置された結果、従業員にもその内容が周知されず、非常時に十分な効力を発揮できなかったという例もあります。

実際に運用してみて初めて分かる問題点というものもありますし、年月が経てば、同じような事象に対しても、適切なアプローチの方法が変わっていく場合があります。
BCPは、復旧の次に打つ戦略へと早期につなげていくためにも、定期的に見直し、更新し、周知していかなければなりません。

BCP策定のステップ

さいごに、BCPの基本的な策定方法について、5つのステップに分けて見ていきましょう。

① BCPを策定・運用する目的を決める

まずは、何のためにBCPを策定し、運用していくのかを決めておきます。
ホテルや旅館の場合は、従業員やお客様の安全を確保し、宿泊施設としての機能を継続していくこと、さらには地域の避難所としての機能も果たしていくことです。

② 責任者を決める

非常時には、司令塔となる人物が必要です。
スムーズに現状確認を行い、早期に復旧作業を開始するためにも、責任者の候補をあらかじめ決めておきましょう。
基本的には経営者や、ホテルや旅館ならば総支配人などがこれにあたります。

③ 営業継続のために必要な業務を洗い出す

次に、宿泊施設としての機能を継続していくために必要な業務にはどのようなものがあるのかを挙げていきましょう。
物資、人手、情報など、非常時にはさまざまなものが必要とされます。
なるべくたくさん挙げておくと、もしもの時も慌てずに済みます。

④ 復旧の優先度をつける

復旧に必要な業務を洗い出したら、それに優先順位を付けていきましょう。
どれもホテル運営に必要なものではあると思いますが、できることにはどうしても限りがあります。
優先順位を事前に決めておくことで、非常時にも最善手を打つことができます。

⑤ 実際の運用体制について考えていく

BCPの大枠が策定できたら、それを実際にどのように運用していくのかを考えていきます。
復旧作業を進めていく際には、全体の責任者以外にも細かな業務それぞれに担当者が必要になってきます。
それぞれの分野の責任者や、その代行者などを決め、どのような手順で復旧作業を進めていくのかの確認をしましょう。

まとめ

ホテルや旅館におけるBCPの重要性と、基本的な策定方法について解説しました。

災害時も安全を確保し、いち早く営業を再開することができるよう、BCPを策定し、それを従業員全体へ周囲することで、あらかじめ備えておくことが重要です。

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