非日常の体験を!温泉街と宿場町の歴史と観光

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温泉街と宿場町の歴史と観光

「非日常的な体験がしてみたい!」と思い立って旅行の計画を練る人も多いと思います。

日常生活と切り離された空間は、テーマパークや海水浴場、山登りなどさまざまありますが、江戸時代から続く歴史的な町並みを残す宿場町や温泉街の老舗旅館もそのひとつと言えるでしょう。

本記事では、そんな温泉街や宿場町がどのように形成され人々に愛されてきたか、またその観光ポイントについて解説していきます。

湯治場の歴史

湯治とは、温泉に入ることでケガや病気を改善させたり、健康を増進させたりするというもので、そういった効能のある温泉が湧きだしてくる地域を湯治場と呼びます。
まだそれほど医術が発達していない時代、湯治は有効な治療手段の一つとして考えられていました。

温泉の歴史は遠く1300年前の奈良時代にまでさかのぼることができます。
全国各地の様子や特産品などを記した『風土記』にもたびたび湯治場が登場します。
当時の人々が温泉の詳しい効能などを知っていたとは思えませんが、病気やけがの改善が期待できる温泉は人々の間で神格化されていき、日本で初めての歴史書とされる『日本書紀』には湯治場への行幸(天皇や皇族がある場所へ赴くこと)に関する記述が散見されます。

そのほか『万葉集』や『枕草子』にも湯治や温泉に関する記述がみられ、鎌倉時代に出版されたいわゆる五山文学のひとつに『温泉行記』という湯治の指南書が登場するほどでした。

戦国時代に入ると、負傷した武将たちが湯治に訪れるようになります。
著名な武将でいうと、武田信玄などは特に温泉好きとして知られています。

江戸時代に入り世の中が平和になると、庶民たちの移動が活発になります。
空前の旅行ブームが巻き起こった江戸時代ですが、温泉地も人気の旅行スポットの1つでした。
それまでのケガや病気の治療という「湯治」という目的以外にも、現在のように観光のために温泉地を訪れる人が増えていったのです。
さらに、蘭学が盛んになると、温泉の科学的な効能も次々と明らかにされていき、さまざまな本が出版されました。

温泉旅館と温泉文学

明治に入り、行政の管轄下に置かれた温泉は、効能の科学的認証と衛生環境の改善、さらに交通機関の発達により江戸時代よりも身近なものになりました。

『枕草子』の時代からたびたび文学に登場する温泉ですが、近代文学にも温泉を舞台にした小説が数多く存在します。
夏目漱石の『草枕』や『二百十日』、志賀直哉の『暗夜行路』、川端康成の『伊豆の踊子』や『雪国』など、古くからある温泉地は文豪たちにも愛され、また作品の舞台として広く人々に親しまれてきました。
また、温泉地での体験は詩歌にも詠まれ、紀行文も出版されています。

リラックスして自然に触れるのも温泉の醍醐味ですが、古代から連綿と続く歴史を感じ取りながら文豪ゆかりの地を巡る旅も素敵です。

宿場町の成り立ち

室町時代以前の日本は近畿地方が政治や経済の中心地で、律令制の時代に作られた官道も畿内から各地に向けて整備されていきました。

江戸時代に入り幕府が江戸にできると、街道も江戸を中心に作られるようになります。
各地と江戸を結ぶ主要な街道を「五街道」といい、関西と関東を結ぶ海沿いの道である東海道、同じく山沿いの道である中山道、江戸と徳川家菩提寺である日光東照宮を結ぶ日光街道、江戸と山梨県のあたりを結ぶ甲州街道、江戸と東北地方を結ぶ奥州街道を指します。

宿場町とは、この五街道を中心とした各地の街道沿いにできた宿場を中心に繁栄した町のことです。
馬での移動が主流であった江戸時代までは、荷物や手紙をある一定の距離でバトンタッチをしながら運ぶという「宿場駅伝制」がとられていました。
そのバトンタッチの拠点が宿場なのです。

宿場はバトンタッチの拠点である問屋場以外にも、旅人や参勤交代中の大名行列の宿泊拠点としても栄えました。
大名や公家などの身分のある人やその従者などが利用する宿泊施設のことを本陣、脇本陣などと呼び、一般庶民が利用する宿泊施設を旅籠や木賃宿と呼びました。

宿場町ももとはただの田舎町にすぎませんでしたが、爆発的に交通量が増えた江戸時代、宿とともに商店や茶屋などもひらかれ、大いににぎわいました。

明治時代に入ると、鉄道の発達により街道の需要は落ち込みます。
周辺に大きな駅ができて再興する町もありましたが、そのほとんどがただの田舎の町に逆戻りしてしまいました。

宿場町の観光

明治時代以降はさびれてしまったところも多い宿場町ですが、あまり開発の手が伸びなかったことが幸いしてか、江戸時代に建てられた歴史ある建物が今も数多く残っています。

古い街並みが続き、古い商店が点在する宿場町を歩けば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような非日常感を味わえます。
おいしい郷土料理のお店や古民家を改装したおしゃれなカフェもたくさんあります。

また、宿場町は江戸時代の交通の要所であるので、その道のほとんどが平坦できれいに整備されています。
そのため、高齢者や小さな子供でも無理なく観光を楽しむことができます。

国の文化財に指定された建物も多く残る宿場町で、江戸時代の人々の息吹を感じるのもいいですね。

まとめ

宿場町や温泉街の歴史と観光について解説しました。

その土地の歴史や文化に触れながら、まるで文豪や大名になったかのような気分を味わってみてはいかがでしょうか。

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