山形県の夏の風物詩と言えば、鮮やかな着物とかわいらしい笠が躍る「花笠まつり」です。
今や全国的にも知られている山形県の夏のメインイベントは、地元の人だけでなく、毎年多くの観光客を集めています。
「ヤッショ、マカショ!」「シャン、シャン、シャン!」という独特の掛け声を聞いていると、見ている側も高揚した気持ちになれますよね。
一度は見てみたい山形県の「花笠まつり」。
本記事では、「花笠まつり」の歴史や踊り、唄などにまつわるお話を紹介していきたいと思います。
「花笠まつり」とは?
「花笠まつり」とは、毎年8月5日・6日・7日に行われる「山形花笠まつり」と、8月27日・28日に行われる「おばなざわ花笠まつり」の、山形県を代表する2つの大きなお祭りのことです。
太鼓や三味線の音がにぎやかな「花笠音頭」に合わせて、菅笠に花を付けた花笠を手に踊り子が練り歩きます。
「ヤッショ、マカショ!」「シャン、シャン、シャン!」という掛け声が印象的で、報道などで耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
踊り子たちの一糸乱れぬ踊りが定番ですが、華やかで趣向が凝らされた振り付けもできています。
東北地方を代表するこの「花笠まつり」は全国的にも知名度が高く、2014年度には伝統の継承と今なお続く進化が認められ、山形県花笠協議会が「高円宮殿下記念地域伝統芸能賞」を受賞しました。
「花笠まつり」の歴史
「花笠まつり」は、大正時代の尾花沢市で生まれたとされています。
当時行われていた徳良湖造成の土搗き作業の過酷な重労働のつらさを紛らわせるために、各地から集められた労働者がそれぞれの故郷の唄を混ぜながら「土搗きの唄」を歌い、作業をしていたそうです。
徳良湖完成の祝賀の際に笠を持った踊りが付け加えられ、現在のかたちになったと言われています。
「花笠まつり」が広く知れ渡るようになったきっかけは、高度経済成長期のさなかである昭和38年(1963年)に蔵王開山1200年を記念して行われた「蔵王夏まつり」が始まりであると言われています。
当時は「蔵王夏まつり」の中の数あるイベントのひとつである「花笠音頭大パレード」に過ぎませんでしたが、昭和40年(1965年)からは「山形花笠まつり」として独立したお祭りになっていきます。
「山形花笠まつり」が全国的に知られるようになったのは昭和45年(1970年)のこと。
大阪万国博覧会で日本を代表する民族芸能のひとつとして「花笠まつり」が披露されたのです。
それからどんどん規模が大きくなり、今では市民に親しまれているのはもちろん、観光客からも大きな注目を集めるお祭りに成長しました。
「花笠まつり」の踊り
「花笠まつり」にはさまざまな踊りがあります。
まずは最も基本的な踊りである「最上川」、通称「女踊り」から。
「蔵王夏まつり」で「花笠音頭大パレード」を行うにあたって、いくつもある踊りを統一したのが「最上川」です。
次にできたのが「笠まわし」。
ダイナミックな動きが特徴的です。
平成に入ると、「蔵王暁光」、通称「男踊り」が新たな「花笠まつり」の定番となりました。
最近では、参加者が思い思いに踊る「創作花笠踊り」もあります。
「花笠踊り」のトレードマークともいえる笠は、踊りごとにデザインが異なりますので、その違いを意識するとまた違った角度からお祭りを楽しむことができるかもしれません。
「花笠音頭」について
「花笠音頭」に合わせて踊り子たちが練り歩く「花笠まつり」。
「花笠音頭」は、「花笠踊り唄」とも呼ばれ、もともとあった2歌と、一般公募の中から選ばれた13歌の、合わせて15歌から成ります。
関東の「八木節」や、秋田県の「船方(ふなかた)節」を中心に、各地の民謡が合わさっているのが特徴で、昭和に入ってからは三味線や太鼓などで華やかな伴奏が付きました。
関連イベント
「山形花笠まつり」は、関連イベントも豊富です。
お祭りのメインは踊りを見ることですが、食べ物も夏まつりの醍醐味のひとつですよね。
大正時代の建物が今もなお残る文翔館の敷地内で行われる「やまがた花笠食フェスタin文翔館」では、山形のご当地グルメ「玉こんにゃく」をはじめ、さまざまな屋台が出店します。
「花笠まつり」のメインは夕方から夜にかけてのパレードですが、「昼も楽しく花笠まつり」というお昼間も楽しむことができる催しもあります。
山形大学花笠サークル「四面楚歌」や「花笠舞踊団」によるパフォーマンスを見ることができるほか、実際に「花笠まつり」の踊りを出演者から指導してもらい、体験することができるというイベントです。
「おばなざわ花笠まつり」は、神事と組み合わさったお祭りなので、パレードが行われる前日には「諏訪神社例大祭」を見ることができます。
「山形花笠まつり」や「おばなざわ花笠まつり」の期間中は、夏休みの期間と被ることもあり、周辺のホテルや旅館の予約が大変取りづらくなります。
なるべく早めに計画を立てて、余裕を持って宿泊先を手配しておきましょう。