GDSとは?その仕組みとこれからについて

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GDSの仕組みとこれからについて

「旅行業界の頭脳」とも言えるようなGDSですが、なかには聞いたことがないという方や、あまり良く理解できていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、GDSについてなんとなく知っているという方でも、ITをはじめとする通信技術が大きく進歩し、インターネットが一般に普及した現代においては、GDSは淘汰されていくものではないかという見方をしている方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、旅行業界において大変重要なシステムであるGDSとは何か、またこれからの時代にGDSはどうなっていくのかについて解説していきます。

GDSとは?

GDSとは、「Global Distribution System 国際流通システム」の略であり、世界中の航空会社、ホテル、旅館、列車、レンタカー、フェリーなどのチケットの予約や発券ができるシステムのことです。
「旅行業界の頭脳」とも呼ばれるGDSは、世界中の旅行代理店からアクセスすることができ、空室情報などをリアルタイムで提供しています。

多くの旅行代理店がGDSを利用しており、また世界中のホテルや旅館がこれに登録しています。
旅行代理店のスタッフは顧客からの要望を聞きつつ、GDSを利用してコストパフォーマンスや空室情報などを照らし合わせたうえで顧客に提案をしていくのです。

GDSは普通、個人が観覧できるものではなく、旅行代理店など業界IDを持つ団体でないとアクセスすることはできません。
また、GDSの利用には1回につきいくらかの料金を払うか、また年に1回専用のソフトウェアを購入する必要があります。

ホテルや旅館といった宿泊施設の視点に立つと、GDSに登録することで世界中の旅行代理店と接点を持つことができるようになるため、思わぬ新規顧客を開拓できる可能性があるということや、GDSは社員旅行や研修旅行などの団体旅行の需要に強いということに着目することができるかと思います。

インバウンド需要を積極的に獲得したいというところや、団体旅行客の予約に力を入れたいというところではGDSへの登録が必要不可欠であると言えるでしょう。

GDSのこれまで

では、GDSはどのようにして誕生し現代に至るのでしょうか。

GDSが誕生したのは、1960年代の航空業界です。
当時の航空券は、スタッフが電話を受けてから膨大な量の帳簿をめくりつつ空席を探し、対応するという大変非効率的なものでした。
航空機の需要が高まるにつれ、そのような対応の仕方では到底予約や発券をさばけなくなってきたのです。

そこでアメリカの航空会社であるアメリカン航空が開発した、当時としては画期的な独自の電子予約システムがGDSのはじまりです。

このシステムはやがて旅行業界において広く浸透し、ホテルや旅館といった宿泊施設の予約にも利用されるようになります。
最初はホテルや旅館、航空会社などのスタッフだけがアクセスできるものでしたが、時代の移り変わりとともに旅行代理店のスタッフもアクセスできるようになり、それ以降世界中で浸透していくこととなりました。

こうして広く普及していったGDSは、今では旅行代理店のスタッフが手動でデータを入力する必要もなく、自動で空室情報などが更新されていくようになり、開発当初に比べて大変便利なシステムとなりました。

宿泊業界におけるGDS

この項では、ホテルや旅館といった宿泊業界に焦点を当ててGDSを見ていきましょう。

現在の宿泊業界のGDSは、旅行代理店と宿泊施設の予約システムの仲介として働いており、リアルタイムで世界中のホテルや旅館の宿泊料金や空室状況などを確認できるようになっています。
ホテルや旅館がGDSに登録することによって、世界中の旅行代理店からのアクセスが可能になります。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が解除され、円安も追い風となって増々インバウンド需要の拡大が期待されるなか、世界と繋がることができるGDSへの登録はかなり大きなメリットがあると言えます。

また、GDSは個人旅行よりも団体旅行で利用されるケースが多いですから、団体旅行での売上を伸ばしたいというホテルや旅館でもGDSへの登録は効果的です。

GDSのこれから

ITをはじめとする通信技術が発達し、インターネットの急速な普及と発展からOTAなどの新たな予約システムが台頭するなか「いずれGDSは淘汰されていくのではないか」といった声も上がってきています。

しかし、もうしばらくはGDSが広く使用されていくものであると思われます。
航空会社では今でもGDSを介してOTAへ空席情報などを載せていますし、法人旅行などではGDSが利用されています。

長い歴史があるGDSはその接続数の多さや効率性では他のOTAなどとは一線を画しています。
今後の技術革新とともにGDSも進化を遂げていくものと思われ、今後もその需要は途絶えないでしょう。

GDSへの登録を検討しているホテルや旅館は、今からでも遅くはありません。

まとめ

旅行業界のあらゆる予約や発券にかかわる国際的システムであるGDSについて解説しました。

今後旅行業界の予約システムが変わっていっても、しばらくはGDSも重要な役割を果たしていくであろうと考えられます。
インバウンド需要を逃したくないというところ、また団体旅行を積極的に受け入れていきたいというところなどは、ぜひ今からでもGDSに登録してみてください。

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