「ほうとう」、「甲州ワイン」、「甲州牛」、「信玄餅」など、さまざまな美味しいものがある山梨県。
甲斐の覇者であり、戦国最強の呼び声も高い武田信玄ゆかりの地として観光客にも人気のエリアです。
静岡県との県境には富士山もあり、海の無い内陸県だからこそ先人たちの工夫が詰まった独自の食文化を有しています。
本記事では、山梨県の食文化やご当地グルメをご紹介していきたいと思います。
街道や水運で古くから発展してきた山梨県
周囲を南アルプスや関東山地といった山々に囲まれた山梨県。
静岡県との県境には、世界遺産に登録された富士山もあります。
甲州街道が走り、富士川による水運が盛んであったため、古くから栄えてきた地域です。
戦国時代には武田信玄が治め、県内のいたるところに信玄による治水工事の痕跡が見て取れます。
ぶどうの生産が全国的にも有名で、「甲州ワイン」と言えば国内屈指のブランドワインです。
ほかにも、優しい味わいの「ほうとう」、淡水で養殖した「甲州サーモン」、柔らかくとろりとした「甲州牛」など、美味しいものがたくさんあります。
本記事では、テーマごとに山梨の食文化やご当地グルメについて切り込んでいきたいと思います。
粉食の文化
数々のドラマにも登場し、全国的な知名度も高い山梨県の郷土料理・「ほうとう」。
幅広の麺を里芋やにんじんと一緒に味噌で煮込んだ、優しい味わいの一品です。
山梨県では「ほうとう」以外にも、ざるうどんのようにしてほうとうを食べる「おだら」、パンケーキ型の「うすやき」、特徴的な形の「みみ」、強いコシが特徴の「吉田うどん」など、粉食の文化が広く普及しています。
県の8割が森林であり、水田を確保するのが難しかった山梨県では小麦、雑穀、蕎麦などの生産が盛んに行われ、傾斜を活かした水車の運用が非常にうまくいっていたことが粉食の文化と深く関わりがあるそうです。
小麦や雑穀を挽いて粉にする製粉機を用いて大量の粉を生産するには、人力ではなく水車によってエネルギーを得ることが必要不可欠でした。
山々によって水田を作ることが難しかったのですが、その傾斜を利用して水車をうまく使っていたのです。
山梨県の粉食文化は、今も地元の食卓を支えています。
内陸県の海の幸
海がない山梨県では、当然魚介類を水揚げすることができません。
そこで保存のために醤油で煮込んでからアワビを甲州まで運んだところ、甲府城に詰めていた武士たちから高評価を得たことで広まったと言われているのが「アワビの煮貝」。
現在もお祝い事には欠かせないものになっています。
明治や江戸のころの面影を残す「甲州寿司」も山梨名物のひとつ。
現在の一般的な寿司よりもシャリが大きく、ネタには醤油ではなく「煮切り」と呼ばれる甘いタレを塗って食べるのが特徴です。
甘いタレを塗ることで、甲州まで運んだ魚の生臭さを消す役割があったそう。
当時静岡のあたりで獲れた魚を運ぶことができる限界が甲州で、なんとか甲州でも寿司を食べられないものかと試行錯誤した結果生まれたものなのです。
山梨県には、先人の内陸県ならではの工夫が食文化として受け継がれています。
山梨県の肉・魚
山梨県外ではあまりお目にかかれない幻のブランド牛・「甲州牛」。
サシが多く、とろりとした味わいが特徴です。
すき焼きやステーキも人気ですが、新鮮な甲州牛は少し炙ってお刺身で食べることができます。
とろりとした甘さを堪能できる贅沢な食べ方です。
「信玄どり」や「甲州地どり」などの地鶏や、馬肉も有名です。
また、淡水でのサーモンの養殖も盛んで、「甲州サーモン」にぶどうの色素を加えてより鮮やかな色合いにした「甲州サーモンレッド」などもあります。
山梨県のくだもの
桃、ぶどう、梨、栗、柿、リンゴ、ザクロ、クルミは「甲斐の八珍果」と呼ばれ、特に生産が盛んなくだものです。
なかでもぶどうが有名で、山梨県のぶどうを使用した「甲州ワイン」は和食に合わせやすいブランドワインとして国内に留まらず海外でも評価が高いです。
ワインはお土産としても喜ばれること間違いなしですね。
信玄餅スイーツ
山梨名物・「信玄餅」。
全国的に有名で、山梨県に訪れたら一度は食べておきたい人気の銘菓です。
最近では、信玄餅を使用したパフェなどの新しいスイーツが続々と考案されています。
写真映えするものも多いので、ぜひ一度信玄餅スイーツを堪能してみてください。
山梨県のご当地グルメ
山梨県のご当地グルメと言えば「鳥もつ煮」。
少量のタレがなくなるまで煮詰めているのが特徴で、濃いめのタレはお酒やご飯だけでなく、蕎麦などのさっぱりとしたものにもよく合います。
牛肉ではなく鹿肉を使用した「鹿肉カレー」や、ラーメンの麺の代わりにほうとうを使用した「ラーほー」なども個性的なご当地グルメです。
手軽に食べられるご当地グルメも必見です。