「信州そば」をはじめとして、おいしいものがたくさんある長野県。
海がない分、山や川の恵みを余すことなく利用してきました。
地域によってさまざまな食文化があるのも魅力的です。
本記事では、長野県の食文化やご当地グルメについてご紹介していきたいと思います。
地域ごとに特色ある食文化
長野県とひと口に言っても、地形、標高差、気候などが地域によって全く異なります。
特に積雪量の差は顕著で、季節風の影響を強く受ける雪深い北部に対して、季節風が山地や山脈を超えることで和らぐ中部や南部では乾燥した晴れの日が続くのです。
8つもの県と接する内陸県でもあるので、周辺のさまざまな地域の食文化の影響を受けやすいという側面もあります。
自然条件だけでなく、江戸時代には11もの藩に分かれていたことも、食文化の違いに大きく影響していると言えるでしょう。
「おやき」と「信州そば」
長野県の有名な郷土料理のひとつである「おやき(焼き餅)」は、小麦粉を練った生地(くず米、もみ殻、蕎麦などを用いることもある)に具材を入れて焼いたもので、その中身は地域によって非常にバリエーション豊かです。
手軽に食べられるものなので、観光の合間に食べ歩きするのも良いですね。
また、長野県は蕎麦切り発祥の地としても知られています。
それまで餅のように丸めて焼くなどして食べられることが多かった蕎麦を現在のように麺状にして食べるようになったのは長野県が初めであるとされ、名物の「信州そば」は県内各地で食べることができます。
B級グルメでは、「信州味噌ラーメン」などが有名です。
ここから先は、長野県の特色ある食文化を、北信エリア、東信エリア、中信エリア、南信エリア、の4つのエリアに分けて見ていきたいと思います。
北信エリア
千曲川沿いにある北辰エリア。
長野オリンピックが開催された場所としても有名です。
全国的にも知名度が高い「野沢菜漬け」発祥の地で、もとは冬を越すための保存食として漬けられていました。
今はお土産に買って帰る方も多く、「おやき」の具としても人気です。
辛みの強い「ねずみ大根」と呼ばれる大根のおろし汁で信州味噌を溶いてつけ汁にする「しぼり蕎麦」や「しぼりうどん」も辛みがクセになる郷土料理。
栗の生産も盛んで、マロンスイーツや栗おこわも販売されています。
東信エリア
避暑地・軽井沢や真田幸村ゆかりの地・上田を含む東信エリア。
降水量が少なく、昼夜の寒暖差が大きい内陸性気候で、レタスなどの高山野菜やくだものの生産が盛んです。
養鯉が盛んで、信州味噌が効いた「鯉こく」などの郷土料理が楽しめます。
「鯉こく」に欠かせない信州味噌は佐久の安養寺が発祥であるとも言われており、地元では「安養寺味噌」を使用した「安養寺ラーメン」を提供しているお店もあります。
飯山のブランド豚「みゆきポーク」も有名です。
春の終わりから初夏にかけて花を咲かせるニセアカシアを花の房ごと衣を付けて揚げた「アカシアの天ぷら」という少し変わり種のご当地グルメもあります。
中信エリア
北アルプスに接する中信エリア。
木曽山脈に接し、険しい山々に囲まれ稲作が難しい南部と、雪解け水に恵まれた穀倉地帯である北部に大きく分けることができ、食文化もかなり異なります。
特に稲作が盛んな安曇野は水がきれいで、ワサビの産地としても有名です。
すりおろしたワサビと鰹節をご飯の上に乗せた「ワサビ丼」は、シンプルながらワサビの香りと風味を味わうことができます。
対して木曾地域は宿場町として栄えましたが、米が育たなかったため蕎麦や雑穀を主食としていました。
海に面していないため塩も貴重で、乳酸菌で赤かぶの茎を発酵させた「すんき」という漬物は、その独特の風味がクセになる冬の保存食です。
大きい一枚の肉をから揚げのようにした「山賊焼き」や、有名人の名前を思わせる名称で話題を呼んだ「キムたく(キムチとたくあん)丼」などのB級グルメも食べておきたいですね。
南信エリア
寒さが厳しく、「諏訪の海」とも呼ばれた諏訪湖を有する南信エリア。
冬の特に寒い時期には湖面の一部が盛り上がる「御神渡り(おみわたり)」という現象が起こります。
湖面を凍らせてしまうくらいの厳しい寒さを利用して、冬場は食材を凍らせて保存する技術が発展しました。
「寒天」もそのひとつで、特にこの地域では「寒天」に豆腐や卵を入れた「天よせ」がお祭りなどで振る舞われます。
また、飯田は焼き肉店が多いことでも有名で、コンビニエンスストアよりも数が多いのだとか。
B級グルメでは、地元メーカーの醤油を用いた「駒ヶ根ソースかつ丼」や、ヒツジ肉を使用した焼きそばのような料理である「ローメン」などがあります。
まとめ
長野県の食文化やご当地グルメを紹介しました。
歴史や自然条件によってバリエーション豊かな特色の食文化を持つ長野県。
旅行の際には、ぜひ各エリアの郷土料理やご当地グルメに舌鼓を打ってください。