日本が鎖国を解く際に開かれた横浜港。
以来、日本の海上運輸の拠点として栄えてきた横浜港を有する神奈川県は、異国の多様な食文化を柔軟に受け入れてきました。
また、神奈川県は横浜を中心とする日本でも有数の都市部でありながら、箱根や丹沢などの豊かな自然にも恵まれた場所です。
文化にも自然にも恵まれた神奈川県には、独自の食文化が根付いています。
本記事では、多彩な神奈川県の食文化やご当地グルメについて解説していきたいと思います。
異国の食べ物も柔軟に受け入れてきた神奈川県の食文化
首都・東京に隣接し交通の便も良い神奈川県は、観光客に人気の旅行先です。
横浜港を通じて世界に開かれたまち・横浜では、さまざまな文化が交流し、独自の食文化を育みました。
ほかにも、かつて幕府が置かれていた鎌倉、人気観光地・江の島がある湘南、海軍のまち・横須賀、温泉で有名な箱根、湯河原など、観光名所が盛りだくさん。
神奈川県に旅行する際は、ぜひとも和洋中のバラエティーに富んだご当地グルメもしっかりと味わいたいもの。
ここでは神奈川県を、湾岸エリア、三浦・横須賀エリア、湘南・鎌倉エリア、県央エリア、県西エリア、の5つに分けて食文化やご当地グルメをご紹介していきたいと思います。
湾岸エリア
まずは日本でも有数の都市である横浜を含む湾岸エリアから。
横浜で食と言えば中華街。
大小さまざまな飲食店が立ち並び、食べ歩きが横浜観光の定番となっています。
特に「シューマイ」や「サンマーメン」は県民のソウルフードと言っても過言ではありません。
また、日本に西洋文化が持ち込まれたのも横浜から。
長らく四つ足の動物の肉を食べることが禁忌とされていた日本に肉食を定着させるきっかけのひとつとなった「牛鍋」の発祥も横浜です。
豊かな自然が残る川崎市では農業も盛んで、なかでも「のらぼう菜」は江戸時代から栽培されている郷土の野菜です。
全国的に大きな支持を集め、各地に専門店がつくられるほど人気な「家系ラーメン」や「川崎餃子」、「川崎タンタンメン」などのB級グルメも有名です。
三浦・横須賀エリア
三方を海に囲まれた三浦・横須賀エリア。
特に横須賀は海軍のまちとして知られており、「横須賀海軍カレー」が名物となっています。
三浦では漁業が盛ん。
昭和初期には全国有数のマグロの水揚げ量を誇り、今でも「マグロのかぶと焼き」や「マグロ丼」さらには三浦の海の幸や山の幸を贅沢にのせた「三浦丼」などを頂くことができます。
ほかにも、漬け、刺身、ステーキなど、さまざまなマグロ料理を提供するお店があり、マグロ好きにはたまらないエリアです。
湘南・鎌倉エリア
相模湾を中心に海の幸が豊富に獲れる湘南・鎌倉エリア。
なかでもしらすがよく獲れるため、「生しらす丼」が名物です。
江の島のサザエを卵でとじた「江の島丼」は、少し苦みのあるサザエとまろやかな卵が絶妙にマッチした一品。
かつて幕府が開かれた鎌倉には寺社仏閣も多く、精進料理から派生した「けんちん汁」発祥の地とされています。
県央エリア
自然豊かで田園風景が広がる県央エリア。
丹沢のあたりは昔から霊験あらたかな土地とされ水もきれいなことから、精進料理には欠かせない豆腐づくりが盛んで、「大山豆腐」が名物となっています。
相模原などの稲作に向かない火山灰が降り積もった土地ではサツマイモの栽培が盛んで、「酒まんじゅう」や「石垣団子」が名物。
かつてはサツマイモの蔓を餌にして養豚も盛んに行われていました。
当時日本にはあまり馴染みのなかった養豚が積極的に行われた背景には横浜に住む外国人の需要があり、ここにも神奈川県の国際性を感じます。
「厚木バーガー」や「海老ラーメン」などのB級グルメも魅力的です。
県西エリア
さいごは全国的に有名な温泉地・箱根がある県西エリア。
大正時代ごろから芦ノ湖で養殖が始まったワカサギは皇室に献上されたほどで、フライ、南蛮漬け、甘露煮など、さまざまな調理方法で親しまれています。
くだものや梅の栽培も盛んで、「湘南ゴールド」や「十郎梅」などのブランドが有名です。
小田原はかつて宿場町として栄え、「小田原かまぼこ」が旅人たちの間で人気を博しました。
最近は町おこしとして「小田原かまぼこ」などを使った「小田原おでん」を提供しているお店も。
小田原の海の幸を伝統工芸品の「小田原漆器」に盛り付けた「小田原丼」や、「小田原系担々麺」、「湯河原ラーメン」などの個性的なご当地グルメもたくさんあります。
まとめ
神奈川県の食文化やご当地グルメをご紹介しました。
横浜港を中心に異国の文化と混ざり合った独特な食文化を持つ一方で、海や山の幸を大切にした昔ながらの郷土料理も残っています。
交通の便も良く、都心から気軽に旅行できる場所ですので、ぜひ足を運んで、おいしいものをおなか一杯味わってみてください！