本州のほぼ中心に位置し、東京都心にもほど近い千葉県。
太平洋に突き出た房総半島から成る千葉県は、漁業が盛んな上に平らで肥沃な土地と、利根川、江戸川といった河川、さらには温暖な気候にも恵まれた土地で農業も盛んです。
「なめろう」など、海の幸を活かしたご当地グルメも豊富で、旅行する際はぜひ食べておきたい美味しいものがたくさんあります。
本記事では、千葉県の食文化やご当地グルメについて解説していきます。
首都圏にありながら漁業・農業が盛ん
いわゆる首都圏に含まれる千葉県。
江戸時代は幕府に魚介類を献上していたことから「御菜浦（おさいうら）」とも呼ばれ、江戸の人々の食卓を支えていました。
今は全国的に食べられている「なめろう」も実は千葉県が発祥であると言われており、ほかにもさまざまな海の幸を活かした郷土料理があります。
また、江戸時代、増加する江戸の人々を賄うために、優れた技術を持つ関西の漁師たちが房総半島に呼び寄せられました。
そのため、千葉県の食文化は関西地方の食文化も合わさり、実に多彩な模様を見せています。
千葉県ではお祝い事やお祭りの際に食べられることの多い色鮮やかな「太巻きずし」は、紀伊半島（和歌山県）の「めはりずし」がもとになっているそうです。
本記事では、千葉県の食文化やご当地グルメについて、県央・県西エリア、県南エリア、県東エリア、県北エリアの4つに分けてご紹介していきたいと思います。
県央・県西エリア
まずは県内で最も栄えている県央エリアと県西エリアから。
首都圏の一角として整備されたこの地域は、一見伝統とはかけ離れているように見えるかもしれませんが、江戸時代からつづく食文化が脈々と受け継がれています。
たとえば、野田市では江戸時代以前から醤油の醸造が盛ん。
今も国内の大手醤油メーカーが本社を置いています。
船橋市周辺では漁業も盛んで、「ふうかし」と呼ばれるあさりの味噌汁のようなものは、今も地元の人々に親しまれている郷土料理。
醤油で鶏肉を炒め、煮汁とともにご飯に混ぜ込んだ「高津の鶏めし」は、素朴で優しい味わいの一品です。
ほかにも、手賀沼付近に住んでいた白樺派の文豪にカレーを振る舞ったことから名づけられた「白樺派カレー」や、伝統的な製法で作った「習志野ソーセージ」など、手軽に食べられるご当地グルメも充実しています。
県南エリア
海に囲まれ、観光スポットも充実したリゾート地帯である県東エリア。
冒頭でもご紹介した「なめろう」は、漁業が特に盛んなこの地域で生まれたと言われています。
「なめろう」を固めて焼いた「さんが焼き」は、居酒屋などでもいただくことができる手軽なご当地グルメ。
農業も盛んで、「房州びわ」や「長狭米」などが全国的に有名です。
また、南房総市は戦国時代から酪農が行われており、「酪農発祥の地」と言われています。
売り物にならない初乳（チッコ）と酢を混ぜて発酵した「チッコ豆腐」は、カッテージチーズのような濃厚な味わいです。
県東エリア
太平洋に面し、海水浴場や別荘地として栄えてきた県東エリア。
芥川龍之介、伊藤左千夫、高村幸太郎など、そうそうたる文豪たちが九十九里浜に別荘を構えたと言います。
いわし漁が盛んで、「いわしのだんご汁」や、「いわしの漬け丼」、保存食として考案された「せぐろいわしのごま漬け」など、いわし料理がたくさん。
いわしのほかにも、「ながらみ」と呼ばれる貝類もよく獲れます。
海辺の定番・浜焼きもぜひ楽しみたいですね。
B級グルメは、辛さがたまらない「勝浦タンタンメン」などがあります。
県北エリア
さいごは落花生で有名な県北エリア。
千葉県では、落花生を茹でて食べる文化があります。
味の想像が付きにくいかもしれませんが、ほくほくとしていて、通常の炒ったピーナッツとはまた違った美味しさがあるのだとか。
印旛沼では、ウナギや鯉の養殖が行われており、あまり知られていませんが、成田山新勝寺の参道ではウナギが名物になっています。
江戸時代ごろから参拝客にウナギを振る舞う習慣があったようで、当時は印旛沼のウナギでおもてなししていたそうです。
しじみもよく獲れるため、「しじみ丼」を出しているお店もたくさんあります。
卵としじみの出汁の相性が何とも言えず絶妙です。
地元で飼育した「佐倉豚」を使用した「佐倉丼」は、すりおろした山芋がかかっており、肉、しょうが、山芋の3つのハーモニーが楽しめるB級グルメ。
少し珍しいご当地グルメとしては、「印西みそピー唐揚げ」が挙げられます。
落花生を甘辛い味噌で味付けし、から揚げに絡めたもので見た目のインパクトも抜群です。
まとめ
千葉県の食文化やご当地グルメを紹介しました。
首都圏でありながら、海の幸を存分に楽しめる地域です。
旅行の際には、観光とともにぜひ食事も楽しんでください。