山の幸をふんだんに取り入れた食文化―岐阜県の郷土料理・ご当地グルメ

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山の幸をふんだんに取り入れた食文化 岐阜県の郷土料理・ご当地グルメ

国内では少数派の内陸県である岐阜県。
富山県、石川県、福井県、長野県、愛知県、三重県、滋賀県の7つの県と隣接しており、古くから交通の要所とされてきました。

総面積の実に8割を森林や山地が占めており、山や川の恵みをうまく利用する人々の知恵が根付いています。
変化に富んだ地形や気候が特徴で、ほかの県にはない独特な食文化が育まれた県です。

本記事では、岐阜県の食文化や郷土料理、ご当地グルメについてご紹介していきたいと思います。

東西食文化の分かれ目?日本のほぼ中央に位置する岐阜県

日本列島のほぼ中央に位置する岐阜県。
戦国時代にもたびたび美濃(現在の岐阜県の中でも濃尾平野が広がり、比較的温暖な地域)を巡って戦が起こっていましたし、時代の移り変わりを象徴する「関ヶ原の戦い」も岐阜県が舞台になっています。

このように「東西分け目の戦い」の舞台となった岐阜県は、実は東西の食文化の分かれ目にもなっているようです。

たとえばお正月にいただくお雑煮のお餅。
統計によっても違いますし、もちろんご家庭によっても異なるかと思いますが、岐阜県の上に境界線が引かれていることが多いです。

出汁文化もこのあたりで分かれているそうで、カップうどんも関ヶ原を境に東西違う味で販売されています。

ほかにも食の東西の違いは様々ありますが、多くの場合はやはり関ヶ原が分かれ目になっているそうです。
東西文化の交差点である岐阜県は古くから交通の要所として栄え、地理的・文化的要因から様々な地域によって異なる食文化が育まれてきました。

ここでは岐阜県を、飛騨エリア、東濃エリア、中濃エリア、西濃・岐阜エリアの4つに分けて見ていきたいと思います。

飛騨エリア

世界遺産にも登録された「合掌造り」が有名な飛騨エリア。

古くはこのあたりで獲れたブリは「塩ブリ」と呼ばれ、「ブリ街道」を通って信濃のあたりまで運ばれていました。
飛騨高山には正月に「塩ブリ」を食べる文化があります。

3000メートル級の山々に囲まれた寒さ厳しいこの地域の冬を支えたのが、地元で収穫される「飛騨紅かぶ」を使用した「赤かぶ漬け」です。
飛騨には、「飛騨紅かぶ」の他にも「守口大根」「弘法芋」「桑の木豆」などの特徴的な伝統野菜が多くあり、今も人々の手によって守り継がれています。

殺菌作用があり燃えにくい朴(ほおのき)の葉の上でねぎや味噌を焼いて食べる「朴葉(ほおば)味噌」は、飛騨に訪れる際はぜひとも食べておきたい郷土料理。
特に、霜降りのとろけるような味わいが特徴の「飛騨牛」と野菜やきのこなどを焼く「飛騨牛朴葉味噌焼き」は旅館などで提供される料理としても人気です。

1300年ほどの歴史がある長良川の鵜飼いで獲る鮎も有名で、今も観光客向けに鵜飼いの様子を鑑賞できます。

東濃エリア

愛知県や長野県と接する東濃エリア。
古くから交通の要所として知られ、江戸時代には中山道沿いを中心に栄えました。

この地域でひな祭りの際に行われる「がんどうち」という風習では、子どもが家々をまわってひな人形を見せてもらい、「日本一幸せになれるように」との願いが込められた富士山型の「からすみ」と呼ばれる米粉を練ったお菓子を貰うのが定番になっているそうです。

中津川が発祥の「栗きんとん」は、栗の実を刻んで砂糖で味付けして蒸したお菓子。
シーズンになると「栗きんとん」を買い求める人々でにぎわいます。
スイーツだけでなく、「栗おこわ」も人気です。

少し変わったご当地グルメとしては「醤油カツ丼」や「あんかけかつ丼」が有名。

どちらもほかの地方ではあまり見かけないものなのでぜひ食べてみてください。

中濃エリア

江戸時代の街並みが残る中濃エリア。
山々に囲まれた自然豊かな地域です。

先ほどご紹介した「朴葉味噌」にも使われている朴葉は殺菌効果があるため岐阜県では昔から日常的に使用されていたようで、この地域では寿司を包んだ「朴葉寿司」が有名です。

保存食である漬物を煮て食べる「煮たくもじ」や「漬物味噌煮」は食物を無駄にすることなく厳しい冬を越すための先人たちの知恵から生まれたもの。
現在でも各家庭で受け継がれています。

標高900メートルの「ひるがの高原」は夏場も涼しく酪農が盛んで、牛乳、チーズ、プリン、サブレなどの乳製品が人気。
高速道路のサービスエリアのグルメとしてもメジャーなのだそう。

郡上市では特産の「群上味噌」を使ったカレーやラーメンなどのご当地グルメが楽しめます。

西濃・岐阜エリア

さいごは愛知県の食文化の影響を色濃く受けた西濃・岐阜エリア。

素焼きしたフナを味噌や砂糖で大豆などと煮た「鮒味噌」や、甘辛く煮た「もろこ」と呼ばれるコイ科の川魚を載せた「もろこずし」という押し寿司など、川魚を食べる文化が根付いています。

一部の地域では今もナマズを食べる文化が残っており、フライや蒲焼きなどで臭みなく美味しくいただくことが可能。

味噌を豆腐などに塗って焼く「田楽」も各地で食べることができ、大根やかぶの葉を刻んでご飯と炊いた「菜飯(なめし)」とセットで提供されることが多いです。

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