ホテルの経営課題を解決するために、レベニューマネジメントを導入する宿泊施設が増えています。
けれども、「なぜレベニューマネジメントを導入するのか」「そもそもレベニューマネジメントをとは何か」など、レベニューマネジメントに対して知らないことが多いと感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、レベニューマネジメントの定義とともに、導入することによって期待できる効果について分かりやすく説明します。
レベニューマネジメントの定義
レベニューマネジメントは、以下のように定義されます。
ホテルなどの宿泊施設では、客室やレストランの座席を翌日に繰り越して販売することはできません。
そのためホテルは、宿泊需要に合わせて適切な価格設定を行い、利益を拡大しようとします。
その根拠を与える役割を担っているのが、レベニューマネジメントです。
観光庁は、宿泊施設の利益拡大に、レベニューマネジメントの導入を推奨しています。
参照:『考えられる国の主な施策(イメージ)』
レベニューマネジメントは、ほぼ全ての宿泊施設に有効です。
導入していないという場合は、検討するとよいでしょう。
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レベニューマネジメントによって期待できる効果
レベニューマネジメントを導入することによって期待できるのは、増収効果です。
宿泊業界には、その産業構造上需要が大きくなった時に供給量(客室)を増やすことができないという特性があります。
そのため、供給量を適切に制限する必要があるのですが、どの程度制限するかによって得られる結果は異なります。
やり方を間違えると、増収どころかマイナスになる可能性も出てくるでしょう。
できるだけ正確に需要を予測し、適切な価格設定をするために利用するのが、レベニューマネジメントです。
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例えば、通常の販売価格が1万円の客室を10室持っている場合、全て満室になった場合の売上は、10万円です。
けれども、毎日必ず10室埋まるという保証はありませんし、売れなかったからといって翌日に繰り越すこともできません。
さらに、予約需要はイベントやシーズンなどに直接影響を受けるため、予測が難しいという特徴もあります。
そこでレベニューマネジメントは、予約状況や宿泊客の傾向など必要なデータを収集し、それをもとに顧客セグメント別に需要を予測して細かく価格を変動させます(例えば、早期割引の対象となる客室は料金を下げ、特定の顧客を対象にした客室は料金を上げるなど)。
そうすることで、空室を埋めつつ標準価格で販売するよりも売上アップを目指します。
レベニューマネジメントが利益拡大の確実性を高める販売手法である理由
レベニューマネジメントは利益の拡大を目指すマネジメント方法です。
増収効果が期待できるとして多くのホテルが導入するのは、レベニューマネジメントには確実性の高さがあるからと言えるでしょう。
確実性を高める理由として、以下の理由が挙げられます。
理由①:利益の拡大を目的とされたマネジメント手法だから
レベニューマネジメントは、必要なデータを適切に用いて需要を予測し、需要予測をベースとして柔軟に価格調整をします。
さらに、価格調整だけでなく客室在庫や販売経路などの調整も行います。
これらの調整方法は、理論に基づき体系化されたものです。
理由②:価格調整を適切に行うノウハウがあるから
レベニューマネジメントのノウハウの一つとして挙げられるのが、ブッキングカーブを用いた分析。
ブッキングカーブとは、宿泊予定日までの予約状況やペースを視覚化したグラフのことで、
- そのホテルの予約傾向を把握できる
- その日に販売できる客室数を予測できる
という特徴があります。
例えば、ブッキングカーブから早期の予約が集中する傾向にあることが分かれば、予約が多くなるタイミングで価格を調整して、一定の客室数の販売が可能です。
自社のデータを利用し、それを正確に分析することで、需要予測の失敗が発生する確率の軽減につなげます。
理由③:各施設の事情に合わせて販売戦略を展開しやすいから
その宿泊施設のタイプなどに合わせてマネジメントするノウハウが確立されていることも、増収の確実性を高める理由と考えられます。
異なる販売戦略に対応できる柔軟さは、新たな販売戦略を生み出すなど増益につながりやすいのです。
例えば、ある大型ホテルでは、宿泊の予約から素朴な疑問までお客様からさまざまな声が寄せられる予約コールセンターを、レベニューマネジメントの一部に組み込むことによって、きめ細かなリクエストに対応できる体制を整えました。
このような大がかりな体制の変更ができるのも、レベニューマネジメントが利益の拡大を実現する手段として有効であるからと言えるでしょう。
まとめ
レベニューマネジメントとは何かについて解説しました。
利益の拡大を目的に、需要予測をベースに販売制限を行うレベニューマネジメントは、増益の確実性を高める販売手法です。
ただしそれは、各宿泊施設のタイプなどに合わせてレベニューマネジメントのノウハウを適切に使い分けることが前提です。
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