ホテルの客室料金の値下げは、タイミングが非常に重要です。
レベニューマネジメントにおいて、需要予測が高くなったら単価を上げて、逆に低い場合は単価を下げるというのが基本ですが、思ったより予約が入らない場合、宿泊予定日の直前に客室料金を下げて、空室を埋めようとしてはいないでしょうか。
実は、売上を確保するという点において、直前値下げは一番失敗しやすい価格設定のタイミングなのです。
今回は、直前値下げが失敗する理由や、利益を確保しながら値下げをするポイントについてご紹介します。
ホテルの客室料金を直前で値下げするケース
ケース①:キャンセル(特に団体)が発生した
ホテルが客室料金を値下げするのは、キャンセルが発生した時です。
特に団体からのキャンセルは、空室が一気に増えることから、迅速に穴埋めするために値下げに踏み切るケースが多いでしょう。
低料金を設定することで予約してもらいやすい状況を作ることが目的ですが、キャンセルはキャンセル料が発生する直前に集中する傾向にあるため、値下げのタイミングは必然的に予定日の直前に行われがちです。
ケース②:そもそも予約数が少ない
予約日が近づいても、空室が埋まらないことがあります。
ホテル側としては、予約を増やそうと考えますが、ギリギリまで待って行われるのが客室料金の値下げです。
なぜ直前の値下げは避けた方がいいのか
キャンセルされて売上がゼロになるくらいなら、低価格で販売して少しでも回収したいと思われるかもしれません。
確かに売上ゼロよりもましにはなりますが、直前の値下げはデメリットの方が大きく、避けるのが無難なのです。
その理由を以下に説明します。
直前値下げは利益の損失につながりやすい
お客様には、大きく分けて
- 価格を重視される方
- 日程を重視される方
の2タイプがいらっしゃいます。
価格を重視されるお客様は、早い時期に予約する傾向にあります。
100%そうだというわけではありませんが、一般的に、早割キャンペーンなどに反応するのが、このタイプのお客様です。
一方の日程を重視されるタイプのお客様は、宿泊予定日のぎりぎりになって予約をする傾向にあります。
そのため、客室料金が少々割高でも、日程などに問題がなければ予約を入れます。
つまり、客室料金の直前値下げは、低単価を好むお客様と高単価で販売する機会を失う可能性があるということです。
直前値下げを避ける方法はある?
直前の値下げを避けるには、キャンセルをなるべく出さないことが得策と考えられます。
キャンセルは、お客様の都合によることが多いため、ホテル側としてはコントロールしづらいと思われるかもしれません。
けれども、ホテル側でもキャンセルを減らす対策は可能です。
次の章では、キャンセル率を下げる方法についてご紹介します。
直前値下げを避けるための2つの対策
直前値下げをせずに、できるだけ売上を上げるには、どうしたらいいのでしょうか。
対策として、以下の2通りが挙げられます。
- キャンセルポリシーを変更する
- 価格の初期設定の方法を見直す
直前値下げを避ける対策①:キャンセルポリシーを変更する
直前値下げを避ける方法の一つとして、キャンセルポリシーを変えることが挙げられます。
ある宿泊施設では、キャンセル料金は宿泊予定日の3日ほど前に発生するとしていますが、キャンセルは料金が発生する直前に起きる傾向にあります。
直前の値下げを避けるには、キャンセル料金が発生する日をより前にずらすことです。
例えば、キャンセル料金の発生を宿泊予定日の10日前とするだけでも、キャンセル率低下の可能性が高まります。
直前値下げを避ける対策②:価格の初期設定の方法を見直す
宿泊予定日ぎりぎりになっても客室が埋まらずに直前値下げを実施しているという場合は、販売開始時に設定した価格が、すでに高額であることが考えられます。
この状況を避けるには、価格の初期設定の方法を見直すことが一番です。
見直しの方法には以下のことが考えられます。
- ホテルの利用状況(需要のある曜日など)を細かく分析しパターン化する
- エリア内の宿泊施設の相場を参考にする
- AIシステムを導入する
その他には、コンサルティングなど外部サポートを受けながら、価格を見直すという方法もあります。
いずれにしても、やりやすさや得られる効果などから検討するとよいでしょう。
まとめ
ホテルの客室料金の直接値下げを避ける理由と、それを避けるためのポイントについて解説しました。
直前値下げは、お客様が予約するタイミングと大きなずれがあり、販売機会のロスにつながりやすい方法といえます。
「直前に値下げするしか方法はない」という以外は、避けるのが無難です。
直前値下げを避けるポイントとして、
- キャンセルポリシーを変更する
- 価格の初期設定の方法を見直す
の2点をご紹介しました。
2つのポイントを参考にしながら、値下げしつつも利益を確保できるタイミングを見つけることが大切です。
もし、ホテルの客室料金を変動させるタイミングが良くわからないという場合は、ホテルコンサルティングを専門としている合同会社ZEALLにご相談ください。
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