ホテルや旅館のマーケティングを考える際、市場分析が済んだら、次はどのように宿泊プランを売り出すのかを考えなければなりません。
その時に役立つフレームワークのひとつが4P分析と呼ばれるものです。
本記事では、ホテルマーケティングにおける4P分析について解説します。
4P分析とは?
4P分析の4つのPとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(チャネル)、Promotion(プロモーション活動)のことです。
これら4つを分析していくことで、マーケティング戦略を企画し、立案することを4P分析と言います。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、ホテルや旅館をはじめとした観光業界は今、ひとつの岐路に立たされていると言っても過言ではありません。
さまざまに移り変わる旅行形態に柔軟に対応するためにも、この4P分析というのはとても重要な作業過程になってきます。
また、サービス業においては、Personal(人)、Process(プロセス)、Physical Environment(物的環境)の3つのPを加えた7P分析を行うこともあります。
4P分析の手順
4つのPについて、それぞれがホテルマーケティングにおいてどのような役割を持っているのか、またどのように進めるのかという手順について述べていきます。
Product(製品)
ホテルや旅館で言う製品とは、宿泊者に提供するサービスのことを指します。
ターゲットとなる層を定め、そのターゲットに応じたサービスを提供していく必要があります。
そのためには、ターゲットとなる層の年齢や性別、年収などに対応したニーズを調査し、それに応じたサービスとは何かを考え、分析しなければなりません。
そのホテルや旅館の特徴、ブランドイメージ、サービスの質などをとともに、市場のニーズも分析します。
また、サービスそのものだけでなく、予約サイトのデザインや、アメニティなど、細かい部分についても分析していきましょう。
Price(価格)
宿泊プランをどのような価格で売り出すのかという分析もとても重要です。
価格設定は、コスト、競合相手、需要の3つを軸にして分析していきます。
コストとは、サービスを提供するのにかかる費用のことを指します。
基本的には、コストに利益を上乗せしたものを価格として設定します。
ですが、コストと利益だけで価格を設定していると、近隣の競合相手となるホテルや旅館に対抗することが難しくなってしまいます。
競合相手が設定している宿泊価格や、近隣の相場となる宿泊価格を踏まえながら価格設定を行いましょう。
低価格競争がヒートアップして利益を度外視してしまうと、何かあった時に取り返しのつかないことになるので注意しましょう。
また、曜日や時期など、宿泊予約数の多いところと少ないところから需要を割り出し、それに基づいて価格を設定するという方法もあります。
Place(チャネル)
チャネルとは、流通経路のことです。
ホテルや旅館のマーケティングにおける流通とは、宿泊プランを売る場所やシステムのことです。
チャネルには、開放的チャネル、選択的チャネル、閉鎖的チャネルの3つがあります。
開放的チャネルとは、取引先を限定せずに販売することです。
取り扱い先が増えるということはそのぶん宿泊予約数も増えるということですが、管理が難しくなってしまうのが難点です。
選択的チャネルとは、取引先を限定することです。販売機会は減少してしまいますが、管理はしやすくなります。
排他的チャネルとは、販売できる会社を限定することです。インターネット上で、直接時価販売することもできます。
これらのチャネルをどうするのかを踏まえた上で、顧客の購買単位やチャネルの利用のしやすさなども分析していきます。
Promotion(プロモーション活動)
プロモーション活動とは、自社製品を広く認知してもらったり、好感度を上げたりするために行う活動のことです。
新聞や車内広告、インターネット上での宣伝活動や、各種メディアを活用した広報活動、直接会って販売する人的販売やダイレクトメールなどでのセルフプロモーションといった方法が考えられます。
プロモーション活動は特に予約数に直結する部分が多く、この分析は非常に大切な項目です。
また、サービス業における残りの3つのPについては以下のとおりです。
Personal(人)
ホテルや旅館といった宿泊業をはじめとするサービス業は、「人」とのかかわりの深い産業です。
スタッフの態度以外にも、そのホテルや旅館に宿泊する客層もそのホテルや旅館の印象を決めます。
つまり、顧客も分析の対象になるのです。
Process(プロセス)
料理などの提供過程も分析対象です。
調理過程を見せると集客にもつながります。
Physical Environment(物的環境)
ホテルや旅館の宿泊は「物」ではなく「体験」です。
「体験」は宿泊が終わった後に残るものがありません。
なので、数値などの、何か環境の証明となるもの、証拠があると顧客に安心感を与えます。
口コミの評価や年間宿泊者数などがそれにあたるでしょう。
まとめ
4P分析について解説しました。
そのホテルや旅館のサービスをより効果的に売り出すために、4P分析を行ってみてください。