肥沃な土地と水に恵まれた米どころ―新潟県の食文化・ご当地グルメ

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肥沃な土地と水に恵まれた米どころ 新潟県の食文化・ご当地グルメ

佐渡島などの離島もあるため、意外にも全国で5番目の面積を誇る新潟県。

日本一有名であると言っても過言ではないブランド米「コシヒカリ」を生み出した米どころであり、日本酒の醸造も盛んな地域として知られています。
豪雪地帯としても有名で、激しい寒暖差と清らかな水、そして肥沃な土地が米づくりを後押ししてきました。

山形県、福島県、群馬県、長野県、富山県の5つもの県と接していることから、地域によって食文化や味付けが微妙に異なってくるのも面白い地域です。

本記事では、新潟県の食文化やご当地グルメについてご紹介していきたいと思います。

米どころならではの食文化

今は稲作が盛んな越後平野ですが、もともとは水はけが悪く作物が育ちにくく、水害が起こりやすい場所でした。
江戸時代から昭和にかけて幾度もの大規模な干拓を行うことで、現在のような米どころになったのです。

米どころである新潟県の食文化は、やはりお米がベースになっていて、餅やおやき、おこわなどさまざまなバリエーションがあります。
また、本土から船で1時間ほどの佐渡島では、海の幸を活かした独自の食文化が発達しました。

本記事では新潟県を、上越エリア、中越エリア、下越エリア、佐渡エリアの4つに分けてそれぞれの食文化やご当地グルメを見ていきたいと思います。

上越エリア

古くから越後の政治や文化の中心であった上越エリア。
平安時代にはすでに魚を運ぶための海路や陸路が開かれ、上越市内の直江津は現在でも多くの貨物を取り扱っています。

湿度が高いため発酵食の文化が根付いており、味噌や漬物などの生産が盛んです。
おにぎりに味噌を付けて焼いた「けんさん焼き」は新潟の味噌を使った郷土料理で、おやつや夜食として地元でも愛されてきました。

糸魚川市では漁業も行われており、エビやズワイガニのほか、「ケンギョ」と呼ばれる深海魚も水揚げされています。

笹の葉にすし飯を盛り、その上に季節の具材を載せた「笹ずし」は、この地域でお祝い事などの際に食べられてきた郷土料理。

妙高市では細長い「ねまがりたけ」と呼ばれるタケノコが特産で、サバの水煮や野菜、豆腐などを入れて味噌汁にした「竹の子汁」が古くから親しまれています。

上越エリアの三市ではカラフルな焼きそばのご当地グルメが編み出されており、妙高市の「赤倉レッド焼きそば」、糸魚川市の「糸魚川ブラック焼きそば」、上越市の「上越ホワイト焼きそば」と、非常に見た目のインパクトが大きいです。

中越エリア

ノーベル賞作家・川端康成の代表作「雪国」の舞台にもなった湯沢町や、金物加工のまちとして知られる三条市などがある中越エリア。
魚野川とその支流が流れる水郷地帯で、アユ釣り愛好家たちからの注目度も高いエリアです。

「魚沼産コシヒカリ」で知られる魚沼市はゼンマイの産地でもあり、お祝い事には旬の野菜とともに煮込んだ「ぜんまいの煮物」が振る舞われます。

長岡市で生産されている伝統野菜「長岡野菜」のなかでも特徴的なのが「長岡巾着なす」を皮を剥いてせいろで蒸した「ふかしなす」という食べ方です。
丸くかわいらしいフォルムで、蒸すと素朴な味わいが楽しめます。

繋ぎに布海苔を使った「へぎそば」は全国的にも知られている郷土料理で、緑がかった色味とつるりとした食感が絶品。

もちろん「あんぼ」や「焼き餅」のように、お米を使った郷土料理もあります。

下越エリア

県庁所在地である新潟市を含む下越エリア。
古くから漁業が盛んで、漁師たちが「イヨボヤ」と呼ぶ鮭は特に別格の存在として重宝され、「ウライ」と呼ばれる策を使った「コド漁」が行われてきました。

鮭を焼いて出汁に漬け込んだ保存食である「鮭の焼漬け」は全国的にも珍しい食べ方の郷土料理です。

根菜を使った煮物「のっぺ」は、地域や家庭によっても調理方法が異なり、呼び方も「のっぺい汁」、「こにも」、「こくしょ」、「大海(だいかい)」など、さまざまなバリエーションがあります。

日本で初めての米粉専用の製粉工場が建設された胎内市では、米粉を使ったグルメを提供しているお店が多く、麺類、揚げ物、デザートまで、幅広いラインナップを展開しています。

幕末に開港した新潟港では早くから洋食が取り入れられ、とんかつを甘い醤油ダレで味付けした「タレかつ丼」が長く親しまれてきました。
タレとご飯、とんかつの相性がクセになるご当地グルメです。

佐渡エリア

さいごは本土から35キロメートルほど離れた佐渡島。
国生みの神話に登場するほか、貴族の流刑地や罪人が金山を採掘していたことでも有名です。

新潟県内にある漁港のうち約半数が佐渡島にあり、一年を通して海産物に恵まれます。

京都に住む貴族が流刑されていたことから関西の食文化も混ざっており、寒ブリが獲れることから正月にはブリを食べる文化があるそうです。

フグの卵巣を使った「ふぐの子の粕漬け」や、乾燥した「いご草」を煮込んで溶かし、冷やし固めた「いごねり」など、本土にはない独特な食文化が根付いています。

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