首都圏からほど近いため、観光がしやすい群馬県。
山、川、湖など自然に恵まれており、また日照時間の長さ、平地や高冷地の多さから、農業が盛んな地域でもあります。
郷土料理から、観光客などに向けたおもてなしの料理まで、さまざまな美味しいものがそろっています。
本記事では、群馬県の豊かな自然や農地が育んだ食文化、そして地元にも観光客にも親しまれているグルメなどをご紹介していきたいと思います。
小麦粉とこんにゃく芋の文化
群馬県の食文化は、大きく小麦粉の文化とこんにゃく芋の文化に分けることができます。
山から吹き下ろす乾燥した冷たい「からっ風」と水はけの良い土壌から、群馬県は小麦の栽培に適した土地です。
お米を収穫した後に麦を栽培する、いわゆる「二毛作」が盛んに行われており、「上州ほうとう」とも呼ばれる「おっきりこみ」や、「すいとん」、「炭酸まんじゅう」など、小麦粉を使った食文化が根付いています。
また群馬県では、栽培できる環境が限定されているこんにゃく芋も良く育ち、「こんにゃく味噌おでん」や「こんにゃくの白和え」などのほか、さまざまな郷土料理にこんにゃくが入っているのだとか。
今回は、群馬県を北毛(ほくもう)、中毛(ちゅうもう)、西毛(せいもう)、東毛(とうもう)の4つの地域に分けて紹介していきたいと思います。
北毛
いわゆる吾妻地域を中心として形成されている北毛は、標高が高いところが多く、夏でも涼しいので、豆類の栽培が盛んです。
「花いんげん」と呼ばれる高山でしか育たない豆類は特に栽培が盛んで、このあたりの地域で作られたものは「高山花豆」と呼ばれています。
この「花いんげん」を使った煮豆は、地元で家庭料理として愛されているだけでなく、最近では缶詰にして観光客向けのお土産にもなっています。
小豆の栽培も盛んで、練った小麦粉を入れてぜんざい風にした「あまねじ(あまだんご)」は、元は農作業中に食べる「小昼飯(こじゅはん)」として作られていましたが、現在はおやつとして食べられることが多いようです。
また、嬬恋(つまごい)村では言わずもがなキャベツの栽培が盛ん。
周辺の飲食店では、キャベツを使用した和洋さまざまな料理を頂くことができます。
「ビーツ」と呼ばれる赤かぶのような西洋野菜も栽培されているなど、高山気候を活用した農業が盛んに行われているのが特徴です。
中毛
県庁所在地である前橋市など、県の中心部である中毛では豚肉料理が有名です。
豚の飼育が盛んで、群馬県全体で見ると全国トップレベルの豚肉生産額を誇り、群馬県民のソウルフードである「ソースカツ丼」以外にも、とんかつ、豚丼、スペアリブなど、さまざまな豚肉料理のお店があります。
また、「日本三大うどん」のひとつである「水沢うどん」も広く知られており、伊香保温泉周辺には「水沢うどん街道」と呼ばれるほどうどんのお店が軒を連ねているそうです。
コシと弾力が特徴的な細麺で、ざるうどんで食べるのがおすすめなのだとか。
西毛
世界遺産「富岡製糸場」がある西毛。
絹製品の需要が下火になっていくにつれて、農業が盛んになっていきました。
下仁田ねぎやこんにゃく、しいたけの生産が特に盛んで、それらを使った「こしね汁」という郷土料理があります。
下仁田は刺身こんにゃくでも有名ですね。
食糧不足の時代に貴重なたんぱく源とされた「しめ豆腐」は、茹でた豆腐を醤油や砂糖で味付けした手軽に食べられるおかずです。
また、高崎市は「パスタの町」としても知られ、市内ではイタリアンのお店を中心に、さまざまなこだわりのパスタを提供しています。
東毛
「岩宿遺跡」など、歴史的なスポットで知られる東毛は、古くから織物が盛んな地域です。
近年では「企業城下町」として有名で、さまざまな大手企業の工場が建てられています。
すりつぶした大豆を味噌汁に加えた「呉汁」や、正月の鮭の頭や節分の大豆など、行事の際に食べるごちそうの余りを煮込んだ「すみつかれ(しもつかれ、すみつかり、しみつかれ)」といった郷土料理のほかに、「ナマズの天ぷら」、「ひもかわうどん」、「舘林うどん」などのグルメを目当てにやってくるという人も少なくありません。
また、中毛をはじめ県全域で親しまれている「ソースカツ丼」は、桐生市が発祥であると言われています。
県全域で手軽に楽しむことができるグルメ
さいごに、観光で少し疲れた際に手軽に食べることができるようなご当地グルメについてご紹介したいと思います。
まずは蒸した白いまんじゅうを串に刺し、味噌を塗って焼き上げた「焼きまんじゅう」。
外はかりっと、中はもっちりとした食感がクセになります。
もうひとつ群馬県で有名なのが「みそパン」。
パンに甘く味付けした味噌を塗ったパンで、県内各地のパン屋さんで販売されています。
どちらも手軽に食べることができますので、群馬県に旅行する際にはぜひ食べてみてください。