ほとんどの人は、家族旅行や修学旅行などで、何度か旅館に泊まったことがあると思います。
しかし、旅館の利用マナーについてあらためて問われると答えに窮するという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、旅館の利用マナーについて見ていきます。
旅館とホテルの違いとは?
実は、旅館とホテルには厳密な区別はありません。
どちらも旅館業法に則って営業する宿泊施設を指します。
数年前までは「旅館業」と「ホテル業」は法的に区別されていましたが、今は「ホテル・旅館業」としてひとくくりにされています。
基本的にホテルと呼ばれるものは洋、旅館は和を基調とした建物で、食事は洋食と和食、お部屋もそれぞれ洋室と和室であるというイメージがありますが、一概には言えません。
洋室やベッドのあるお部屋を備えている旅館もありますし、和食を提供するホテルもあります。
ここでは、和風建築でお部屋は和室、畳に布団を敷くというティピカルな旅館を想定して解説していきます。
館内で気を付けたいこと
まずは、公共スペースでのマナーについてまとめたいと思います。
チェックインに遅れそうなときは事前に連絡を入れる、むやみに写真を撮らない、廊下では大声で騒がないなど、基本的なことはホテルと変わりありません。
旅館ならではのマナーについていくつか挙げてみたいと思います。
服装
旅館はくつろぐところなので、欧米の高級ホテルのように厳格なドレスコードがあるわけではありませんが、旅館の格によってはふさわしい服装を心がけましょう。
失礼に当たるのもそうですが、周囲から浮いて気まずい思いをしてしまいます。
カジュアルな装いで構いませんが、なるべく露出は控え、男性はジャケットを用意しておくと良いでしょう。
また、海が近い場合でも水着やビーチサンダルでの出入りは避けましょう。
履物は揃える
旅館では玄関先で履物を脱ぐ場合があります。
履物はまっすぐ前を向いたまま脱ぎ、奥にお尻を向けないように少し斜めにかがんでつま先を玄関の方に向けて揃えるのがマナーです。
仲居さんなど、旅館の方がいる場合は揃えたり靴箱にいれたりしてくださるのでそのままで構いません。
また、館内に入る順番は年功序列を守った方が望ましいです。
浴衣で館内を歩き回らない
浴衣はあくまで部屋着なので、そのまま夕食会場などに赴くことは原則マナー違反です。
ただし、旅館によっては許可されている場合もあります。
支払方法
小規模な旅館などではクレジットカードやバーコード決済の設備がなく、現金での支払いのみのところもあります。
事前に電話などで確認しておきましょう。
お部屋で気を付けたいこと
つづいて、お部屋の中で気を付けたいことについて挙げていきます。
上座・下座
「上座」「下座」という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。
目上の方に上座を譲るのがマナーなのですが、それは旅館のお部屋の中にも当てはまります。
社会的立場が上の方や年上の方には上座を譲りましょう。
お部屋に入って一番奥から上座、入り口に近い方が下座です。
また、日本では昔から左右では左の方が上位とされていますので、左側が上座、右側が下座です。
荷物を置く場所
特に決まりはありませんが、床の間に置くことは避けましょう。
床の間は、旅館の方が掛け軸やお花を飾って宿泊客をおもてなししてくれているところです。
空きスペースではありません。
床の間にのぼったり座ったりすることもよろしくありません。
また、畳の上でスーツケース等を引き摺ることは絶対にいけません。
畳が摩耗してしまいます。
仲居さんについて
お部屋で給仕をしてくれたりお布団の出し入れをしてくれたりする方のことを仲居さんと呼びます。
仲居さんがお布団を敷いてくれているときやお食事の後片付けをしてくれているときは特に席を外す必要はありません。
もちろんその間お部屋を出ていても構いません。
また、仲居さんには心づけを渡さなければならないと思う方もいるかもしれませんが、宿泊代金にサービス料が含まれているため、基本的には不要です。
何か特別な配慮をしてもらった際には渡すこともあります。
お布団はたたまないといけないのか?
お布団を自分でたたむ必要はありません。
寝た後のお布団を2つ折りにしたり3つ折りにしたりしてしまうと、かえって仲居さんの手間が増えるので、軽く整える程度で構いません。
温泉・大浴場でのマナー
最後に、温泉や大浴場での入浴時に気を付けたいことについて挙げていきます。
刺青・タトゥーなど
ひと昔前まで、刺青は反社会勢力とのつながりを意識させるものであったので、刺青やタトゥーの入った方は温泉や公共浴場の利用を断られていましたが、近年はシールなどを張れば入浴ができるところも増えてきました。
入浴前に仲居さんなどにその旅館の規則を尋ねておきましょう。
髪の毛はまとめる
入浴の際は、髪の長い方は首筋よりも高いところでまとめておきましょう。
衛生面などから髪の毛がお湯につくことを不快に思う方もいます。
入浴前にかけ湯などをする
お湯につかる前にかけ湯などをして体の汚れを落とすようにしましょう。
また、かけ湯をすることで急激な温度変化による心臓への負担を和らげることができます。
タオルはお湯につけない
バラエティー番組などでタオルを巻いてお湯につかっている姿をよく見かけますが、あれは撮影のために特別な許可を得てやっていることなので、真似をしてはいけません。
細菌がお湯に溶け込んでしまうこともあるのでタオルをお湯につけることはやめましょう。
シャワーが周りに飛び散らないように注意する
身体を洗っているときは、無意識のうちに水しぶきや泡を飛ばしてしまっていることがあります。
シャワーを使うときは周囲に十分気を配りましょう。
まとめ
旅館の利用マナーについて解説しました。
気を付けなければいけないことはたくさんありますが、皆さんも旅館で日常の喧騒を忘れてゆっくりしてみてはいかがでしょうか。