日本で初めて国立公園に指定された長崎県の雲仙岳。
『三峰五岳の雲仙岳』と呼ばれる、普賢岳、国見岳、妙見岳、絹笠岳、高岩岳、野岳、矢岳、九千部岳の8つの山々を総称したもので、雲仙温泉は普賢岳の南方に位置しています。
避暑地としても知られている標高700メートルほどの高地で、四季の移ろいを感じながらのんびりと快適に過ごすことができるのが雲仙温泉の魅力です。
また、雲仙観光の名物が「地獄」。
火山活動によって生み出された迫力ある景観は、キリシタン殉教とも深い関わりがあります。
レトロな雰囲気が漂うまち並みと美しい自然を楽しみながら、ゆっくりと心身を休めることができる温泉地です。
本記事では、雲仙温泉の歴史や周辺の観光スポットについてご紹介していきたいと思います。
豊かな自然と過ごしやすい気候が魅力的な温泉地
かなり早い段階から外国人にも注目されていた雲仙温泉。
夏でも過ごしやすい高山性の気候から、避暑地としても知られています。
春のつつじや秋の紅葉で山が染まってゆくさまは圧巻。
冬になると、氷点下の気温、強風などの条件がそろって初めて生まれる「花ぼうろ」が見られます。
白銀に覆われた枝が朝日に輝く幻想的な光景です。
また、雲仙温泉は硫黄泉で、殺菌、美肌効果や、皮膚病改善、リウマチ、関節痛、疲労回復、健康促進などの効能があります。
雄大な自然を堪能しつつ、温泉で心身を癒す旅に出かけてみませんか。
ここからは、雲仙温泉の歴史をご紹介しつつ、観光のメインである「地獄」や、周辺の定番観光スポットなどを見ていきたいと思います。
雲仙の歴史
「肥前国風土記」のなどの文献にも登場している雲仙や島原。
行基和尚や最澄などの著名な人物にゆかりがあるとされ、修験道の世界などでも古くから人々の信仰を集めてきました。
「雲仙」はもともと「温泉山(うんぜんさん)」と呼ばれていたことから、温泉地としても早い段階から人々に認識されていたのであろうと思われます。
江戸時代には共同浴場としても使用されていたという記録も残っているそうです。
明治時代に入ると、雲仙温泉は主に外国人の間で人気の避暑地となります。
日本人が利用する浴場とは別に、混浴の文化がない外国人のためにひとり用の温泉を設けたことが外国人たちに受けたようです。
海外のメディアなどでも紹介されるほど避暑地として国際的な知名度を得た雲仙温泉は、外国人を中心にさらに多くの人が訪れるようになります。
戦後は、国立公園や世界遺産に指定されるなど、その自然的、文化的な価値も認められるようになりました。
現在は日帰り温泉などの利用客も増え、国内外問わず人気の温泉地として広く知られています。
自然の営みに圧倒される!「地獄」めぐり
火山活動が生み出した雲仙温泉の「地獄」。
雲仙温泉内に30ほどある観光のメインです。
古湯と新湯の間にある「温泉余土」と呼ばれる白い土に覆われており、いたるところから濛々と湯けむりが立ち硫黄のにおいが充満するさまはまさに「地獄」といった様相です。
この湯煙は、大地の活動によって発生したもの。
マグマだまりから発生した高温高圧ガスは、上昇する過程で化学変化し、高温熱水となって沸騰します。
その沸騰によって激しく吹き上げたガスが湯煙の正体です。
また、雲仙の地は江戸時代のキリシタン弾圧の舞台にもなった場所。
地獄の名称には、「お糸地獄」や「清七地獄」など、キリスト教の教えに殉じた信者たちにちなんだものもあります。
雲仙温泉の定番観光スポット
ではさいごに、雲仙温泉周辺の定番観光スポットについてご紹介したいと思います。
仁田峠
四季の移ろいによる美しい景観が楽しめる仁田峠。
雲仙観光の定番スポットです。
展望台やロープウェイからは、温泉街を見下ろすことができます。
おしどりの池
温泉街から少し外れた静かな場所にある池。
名前の通り秋には渡り鳥が見られるほか、初夏には約1万株もの紫陽花が咲き誇ります。
雲仙小地獄温泉館
小地獄温泉の源泉が楽しめる共同浴場。
小地獄温泉は雲仙温泉のなかでも最大の湯量を誇ります。
木でできた八角形の浴室の屋根と、にごり湯に風情が感じられます。
雲仙ビードロ美術館
江戸時代に長崎で始まった「びいどろ」の美術館。
ボヘミアングラスやオイルランプなどのアンティークを中心に、300点ほどが収蔵されています。
ヨーロッパの山小屋のようなかわいらしい外観も必見です。
雲仙焼窯元
歴史ある雲仙焼の継承者や、雲仙でとれる火山灰を使用した油滴天目の焼成に成功した作家などが集う雲仙焼の窯元です。
別途料金を支払えば陶芸体験もできます。
イルカウォッチング
少し足を延ばして島原半島の南端では、観光船でのイルカウォッチングもできます。
所要時間は1時間半ほどで、事前に予約を入れておくことをおすすめします。