関西地方のほぼ中心に位置する奈良県。
かつて平城京が置かれ、都の史跡や長い歴史を持つ寺社仏閣が建ち並ぶ人気の観光地です。
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が「素晴らしい場所・住みよい場所」を意味する「まほろば」という言葉で表現した大和国。
まちとして整備されていながらも、山々の自然豊かで美しい風景が広がっています。
奈良と言えば「東大寺」の大仏が有名ですが、世界的に著名な観光スポット以外にも、魅力が詰まった県です。
本記事では、奈良県の定番観光スポットを見ていきたいと思います。
豊かな自然と悠久の歴史を感じる古都・奈良
およそ1300年前に都が置かれていた奈良県は、現在は大阪のベッドタウンとしても開発が進んでおり、アクセスが良く非常に観光しやすいまちです。
電車やバス、観光施設などが程よく発達していながら、史跡や寺社仏閣、そして豊かな自然がのびのびと共存しています。
盆地である平城京を取り囲むように山がそびえる奈良県は、エリアごとに特徴もさまざま。
ここでは奈良県を、奈良公園・平城京エリア、生駒・斑鳩エリア、飛鳥・橿原エリア、吉野路エリアの4つに分けて見ていきたいと思います。
奈良公園・平城京エリア
まずは奈良観光の鉄板である奈良公園・平城京エリアから。
大仏が有名な「東大寺」、藤原家とゆかりのある「興福寺」、神話にも登場する「春日大社」など、奈良の有名観光地が凝縮された「奈良公園」。
その名の通り青々とした緑が広がる「若草山」や、原生林が残る神秘的な「春日山」が周辺にあり、観光客や修学旅行生の人混みや圧倒されるような史跡の中にいても、どこかおおらかな印象を受けます。
また、「奈良公園」から少し離れた場所には、「凍れる音楽」と形容された東塔が有名な「薬師寺」や、鑑真和尚が苦難の末に来日し建立した「唐招提寺」、そして「平城宮跡歴史公園」があります。
平城京の歴史を知ることができる「平城宮いざない館」や、遺跡の公開・復元にも注目です。
生駒・斑鳩エリア
奈良時代よりもさらに昔の飛鳥時代に栄えた生駒・斑鳩エリア。
聖徳太子が建立した「法隆寺」は現存する最古の木造建築群。
聖徳太子の時代の伽藍は焼失したため現在の伽藍は8世紀に建てられたものですが、それでも世界で最も古い木造の建物であることに変わりはありません。
五重塔や金堂などの建物や仏像や仏画などの収蔵品は、国の重要文化財や国宝に指定されています。
法隆寺に隣接する「中宮寺」は聖徳太子が母のために建立したお寺。
細身な体躯と優しいほほえみが特徴的な「菩薩半跏思惟像」や聖徳太子の妻が彼の冥福を祈るためにつくった「天寿国曼荼羅繍帳」は、ともにこの時代を代表する美術品です。
四天王の一柱である毘沙門天をお祀りする「信貴山朝護孫子寺」も聖徳太子にゆかりのあるお寺。
白鳳期の歴史・宗教・文化などを体感したいという方は、このエリアを見て回ると良いかと思います。
また、大阪府との県境にある「生駒山上遊園地」は、長く地元の人々に愛されてきた昔ながらの遊園地。
車を使えば大阪からすぐに行くことができ、小さな子どもが楽しめる遊具がたくさんあるので、家族でのお出かけにぴったりです。
飛鳥・橿原エリア
古墳や神話の時代からある神社が有名な飛鳥・橿原エリア。
かつて大和政権が拠点を置いた飛鳥の地は、数多の古墳が密集している地域。
レンタサイクルを利用して、古墳巡りの旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
1400年の歴史を持つ「飛鳥大仏」をご本尊とする「飛鳥寺」は、周囲ののどかな風景とともに四季の移り変わりが楽しめるお寺です。
周辺にある万葉集をテーマにした「奈良県立万葉文化館」にも、ぜひ足を延ばしてみてください。
「日本書紀」において初代・神武天皇が即位したと伝わる場所に創建された「橿原神宮」は、神武天皇とその妻をお祀りした神社。
神話や皇族とのつながりが深く、四季の移ろいを感じられる広い境内は圧巻です。
県東部の山間部は自然豊かで鮮やかな緑が広がっており、自然と共存するような形で歴史ある寺社仏閣が建立されています。
特に399段続く石段と四季折々の花々美しい「長谷寺」や、「女人高野」とも呼ばれていた「室生寺」は、日常から切り離されたような厳かで洗練された空気に包まれた古刹です。
吉野路エリア
さいごは県南部に位置する吉野路エリア。
古くから人々に愛され、数多の歌にも詠まれてきた桜の名所・「吉野山」は、ソメイヨシノのような淡い色の桜だけでなく様々な色で彩られるのが特徴。
山に咲く桜の多くはシロヤマザクラで、全体では約200もの品種が植わっています。
優しくて温かみのある春の山の象徴的な風景です。
「吉野山」は修験道が盛んな場所としても知られており、「金峯山寺」はその総本山。
安土桃山時代に建てられた堂宇は東大寺の大仏殿に次ぐ大きさで、とても迫力があります。