福岡の定番観光スポットのひとつ・太宰府天満宮。
福岡市の中心街から西鉄の大牟田線や大宰府線を使えばすぐにアクセスできる利便性も魅力的です。
学問の神様であり、日本三大怨霊として恐れられていた菅原道真をお祀りする天満宮の総本宮で、毎年多くの受験生やその家族が合格祈願に訪れます。
もちろん歴史や文化を感じられる観光スポットとしても人気の場所です。
本記事では、太宰府天満宮の歴史と見どころについてご紹介していきたいと思います。
全国から受験生が集まる天満宮の総本宮
学問の神様として名高い天神さまこと菅原道真をお祀りする太宰府天満宮。
京都の北野天満宮と並ぶ天満宮の総本宮のひとつとして広く知られており、最近では海外からも多くの観光客が訪れる人気の観光スポットです。
境内には貴重な文化財がたくさんあり、四季折々の花々が美しく咲き誇ります。
合格祈願以外にも、学業成就、厄除け、火難除けなど、さまざまなご利益があると言われている由緒ある神社です。
ここでは、太宰府天満宮の歴史を紐解きつつ、その魅力に迫っていきたいと思います。
日本三大怨霊・菅原道真
日本三大怨霊として恐れられている菅原道真。
税制改革などの国政において多大な功績を残し、遣唐使の廃止を進言した人物として知られています。
道真を重用した宇多天皇が崩御されると、右大臣として国の中枢を担っていた彼は左遷され、都から遠く離れた大宰府の地に追いやられ、不遇な扱いを受けたまま59年の生涯を閉じました。
彼の死からしばらく都では不幸が続き、人々は左遷された菅原道真の祟りではないかと噂します。
都の危機を何とか救おうと、怨霊・菅原道真を鎮めるべく造られたのが天満宮です。
都に造られた北野天満宮と、菅原道真が亡くなった九州に造られた太宰府天満宮は、今も全国に数多ある天満宮の総本宮として人々の信仰を集めています。
学問の神様へ
怨霊として祀られていた菅原道真ですが、彼の生前の功績や学識の高さから、次第に学問の神様として人々に親しまれるようになります。
平安時代中期の文章博士・大江匡衡は「文道大祖 風月本主」と、天神さまは学問や文学の祖であると評しています。
また、鎌倉時代に入ると、連歌や茶道といった芸術の神様としても広く信仰されるようになりました。
学問の諸分野に長けた菅原道真は晩年こそ不遇な扱いを受けましたが、後世の人々からは尊敬され、慕われているようです。
太宰府天満宮の見どころ
ではさいごに、太宰府天満宮の見どころについてご紹介していきたいと思います。
太鼓橋・心字池
「心」の字の形の池の上に架かる3本の太鼓橋。
それぞれ過去・現在・未来を表しており、仏教の三世一念という概念を表しています。
この橋を渡ることで、心身が清められると言われています。
楼門
太鼓橋を渡ってしばらく歩くと見えてくるのが、裏と表で構造が異なるように見えるのが特徴の楼門。
過去に何度か焼失しており、戦国武将・石田三成が寄進したこともありましたが、現在のものは大正時代に再建されたものです。
朱塗りの風格ある入母屋造りになっており、中では天神さまをお守りする随神を見ることができます。
御本殿
楼門をくぐると、菅原道真をお祀りする本殿があります。
戦国武将・小早川隆景が寄進した現在の御本殿は国の重要文化財にも指定されている歴史資料的にも重要な建造物。
令和8年ごろまでは改修工事が行われており、隣の仮殿に御神霊が遷されています。
飛梅
本殿に向かって右側にある梅の木。
幼少期から梅を好んでいたという菅原道真が、自邸の庭の梅の木に「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」と詠いかけたところ、一夜のうちに京都から大宰府まで飛んでいったという伝説があります。
天満宮の紋章は梅の花をかたどっているほか、お土産や縁起物として梅干しも販売されています。
特に受験生は買って帰るとご利益があるかもしれません。
御神牛
道真が丑年生まれであったことや、亡くなった際に遺骸を引いていた牛が動かなくなったところに御墓所を造営したことなどにちなんで、境内には臥牛の像が11体もあります。
特に彫刻家・冨永朝堂が手掛けた延寿王院前のものが有名。
頭部を撫でると知恵を授かることができるとも言われています。
如水の井戸
福岡藩初代藩主・黒田長政の父である黒田如水。
福岡城の屋敷が完成するまでの仮住まいとして太宰府天満宮に滞在していた際に、この井戸でお茶を点てたと言われています。
奥には如水を祀った如水社もあります。
大樟
39メートルもの高さを誇る天然記念物。
カメラの画角にも収まりきらないほどの巨大な樟です。
俳人・荻原井泉水は、「くすの木千年 さらに今年の若葉なり」と詠っています。
宝物殿
太宰府天満宮にまつわる貴重な品々や美術品を収蔵しており、展示だけでなくそれらに関する研究も行っています。
道真公の御佩刀や国宝「翰苑」などの歴史的に非常に重要なもののほか、近年は現代アートの展示にも力を入れています。
参道
参拝の跡は参道でのショッピングや食べ歩きが定番。
名物「梅ヶ枝餅」をはじめ、さまざまなお店が軒を連ねています。