平安貴族たちにも愛された別荘地―嵐山・嵯峨野の定番観光スポットとその歴史

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平安貴族たちにも愛された別荘地 嵐山・嵯峨野の定番観光スポットとその歴史

四季の移り変わりが美しい嵐山。
秋の紅葉のシーズンを中心に、国内外から多くの観光客が訪れます。
京都の市街地からは少し離れていますが、自然豊かな人気の観光スポットです。

古くから皇族や貴族たちに愛されてきた景勝地である嵐山・嵯峨野の一帯は、長い歴史を持つ寺社仏閣がたくさんあります。
参拝の前に少し予備知識を入れておくと、さらに観光が楽しくなるものです。

本記事では、嵐山の定番観光スポットとその歴史について紹介していきたいと思います。

歴史と自然が融合した美しい景勝地

五山の送り火の最後を飾る鳥居型が灯る嵯峨野の曼荼羅山。
京の民衆の文化や、貴族や皇族が育んだ文化、寺社仏閣が築き上げた文化など、さまざまな文化が交じり合って共存している嵐山や嵯峨野は、外国人観光客も多く訪れる人気の観光スポットです。

長い歴史と豊かな自然が融合した美しい景観は、唯一無二の魅力を持っています。
京都御所を中心とした京都市街の中心部とはまた違った京都の表情を感じることができ、少しゆったりと観光することができるエリアです。

ここでは、主に歴史を感じることができる観光スポットを中心にご紹介し、その魅力に迫っていきたいと思います。

嵐山・嵯峨野と平安貴族たち

嵐山・嵯峨野一帯が今のような景勝地として知られるようになったのは、嵯峨天皇が離宮嵯峨院(現大覚寺)を造営したことがきっかけです。
1200年の歴史を持つ大覚寺は真言宗大覚寺派の総本山でもあり、生け花発祥の地でもあります。

嵯峨天皇が離宮を持ったことをきっかけに皇族や貴族たちがこぞって嵐山や嵯峨野に別荘を持ち、その風景を楽しみました。
以後、古典文学作品に登場したり、歌に詠まれたりと、日本文学と切っても切れないような景勝地として知られるようになります。

貴族たちが都からもたらした豊かな文化と山や川の美しい自然が調和することによって、今の嵐山・嵯峨野があるのです。

嵐山のシンボル・渡月橋

ここからは、嵐山・嵯峨野の代表的な観光スポットをいくつかピックアップし、その歴史的背景や見どころをご紹介していきたいと思います。

まずは嵐山のシンボルとも言える渡月橋から。

このロマンチックな「渡月橋」という名前は、亀山天皇が付けたものです。
かつて「法輪寺橋」と呼ばれていたこの橋が川面に映る姿を見て、「くまなき月の渡るに似る(満月が法輪寺橋を渡っているかのようだ)」と称賛したことで、以来「渡月橋」と呼ばれるようになりました。

ニュースなどで見かける渡月橋は嵐山で最も有名な観光スポット。
四季の移り変わりと桂川の流れが美しい場所です。

「源氏物語」と野宮神社

続いては「源氏物語」の舞台になった野宮神宮。

野宮神宮は、伊勢へ斎宮に行く姫君が身を清めたという由緒正しい神社。
その建物や自然の美しさは、「源氏物語」の「賢木の巻」に流麗な文章で記されています。

一面に苔が広がる「じゅうたん苔」など、自然豊かな境内は散策にもぴったり。

子宝安産や商売繁盛、恋愛成就などさまざまなことにご利益があり、神石「お亀石」を撫でながら願いごとをすると、その願いが叶うとも言われています。

天龍寺と日元貿易

後醍醐天皇を弔うために夢想礎石や足利尊氏が建立した天龍寺。
京都を代表する格式高い禅寺です。

尊氏や高原天皇の出資でも資金が足りず、造立費を工面するために始めたのが、日本史の教科書にも出てくる「天龍寺船」。
「天龍寺船」とは、当時の中国を治める王朝である元との貿易です。
ひとつのお寺を造るために海外との貿易をはじめたということですから、その規模の大きさがわかるかと思います。

「庫裏」の「達磨図」が有名で、その独特な図案は一度見たら忘れません。
お堂から眺める庭園の自然が美しい観光スポットです。

「平家物語」にも登場する悲恋の尼寺・祇王寺

竹林と青紅葉が美しい祇王寺。

平清盛に見初められた白拍子・祇王が清盛に捨てられ、悲しみの末に母や妹ともに入ったのが祇王寺です。
物語に描かれる涙を誘う悲恋の物語は、悲しいながらも美しい名場面。

祇王寺は、もとは往生院の境内にあったようですが、往生院が廃れてしまった後は尼寺の祇王寺だけが残ったそうです。

草庵の「吉野窓」からは、四季折々に表情を変える境内の自然を楽しむことができます。

苔むした山門には風情が感じられ、美しい自然を堪能できる観光スポットです。

まとめ

嵐山・嵯峨野の観光スポットについて解説しました。

歴史ロマンあふれる寺社仏閣と美しい自然に、身も心もリラックスすることができる地域です。
貴族や皇族たちに愛されてきたこのエリアは、自然と共存しながら独自の文化・景観を育んできました。

京都市の中心部からは電車を使ってすぐにアクセスできる場所にあります。
嵐山・嵯峨野の観光には自転車があると便利ですので、ぜひ駅前のレンタサイクルを利用してみてください。

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