一度は行ってみたい「お遍路さん」!四国八十八か所霊場の歴史と魅力

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一度は行ってみたい「お遍路さん」 四国八十八か所霊場の歴史と魅力

都から少し離れた場所にある四国は、古くから修行の地でした。
そんな四国で生まれ育った弘法大師にゆかりのある霊場から八十八か所を厳選したのが四国八十八か所霊場です。

八十八か所すべてを巡ると煩悩を取り払い、悟りを開くことができると言われており、四国遍路やそれを行っている人のことを「お遍路さん」と呼ぶこともあります。

四国遍路は江戸時代ごろから観光化され、現在では外国人の「お遍路さん」や、自動車、自転車を使った「お遍路さん」など、参拝の仕方も多様化しており、より身近なものになってきている四国遍路。

本記事では、四国八十八か所霊場の歴史と魅力についてご紹介していきたいと思います。

国際的にも関心の高い循環型の巡礼路

四国遍路は、世界的にも珍しい循環型の巡礼路が特徴です。

八十八か所霊場にはそれぞれ1番から88番まで番号が振られており、その順番に参拝していくと四国の海沿いをぐるりと一周し、始まりと終わり繋がっている循環型になっています。

日本古来の信仰のかたちを残す四国遍路は、海外からの関心も非常に高いようで、近年は外国人の巡礼者もよく見かけるそうです。
これまでのように代表的な観光地を見て回ってお土産をたくさん買って帰る旅行形態から、その土地の自然や文化に強い関心を持って、ありのままの姿を見つめようとする旅行へと人々の価値観がシフトしてきているのも、四国遍路が外国人観光客に人気がある理由なのかもしれません。

四国遍路には徒歩で険しい道を行くイメージがあるかもしれませんが、必ずしも苦行が必要なわけではなく、自動車や自転車をうまく活用しながら、自分に合った参拝方法を模索してみてください。

四国と弘法大師

四国八十八か所霊場は、香川県出身の弘法大師が修行した寺社から八十八か所をピックアップしたものです。

弘法大師の著作である「三教指帰」に記されている修行の場がまさに四国であり、大師はたびたび四国で修業を積み、悟りへと近づいていました。
中国で真言密教の教えを授かった弘法大師は帰国後、高野山や東寺を開いてその教えを人々に広める活動を精力的に行いました。

四国遍路では、霊場巡りは個人と弘法大師の二人で行うものとされており、「同行二人」と言われることもあります。

四国遍路の大衆化

弘法大師信仰が広まると、宗派に関わりなく多くの僧侶たちが大師ゆかりの四国の霊場を巡って修行するようになりました。

当初は修行の意味合いの強かった四国遍路が大衆化され始めたのは江戸時代に入ってから。
宥辨真念(ゆうべんしんねん)が記した「四国遍路道指南(現代で言う四国遍路ガイドブックのようなもの)」が大ヒットし、四国遍路に関するハウツー本や旅行記が人気を呼びました。

ぐっと庶民の間でも身近になった四国遍路はこのころに八十八か所霊場が確定され、順路や巡り方の確立、道案内の標識や宿坊の整備が行われたと言われています。

時代が下って車での移動が一般的になると、バスツアーや自家用車、レンタカーなどを使った「お遍路さん」も現れ、四国遍路は今もなお形を変えながら人々の心の拠り所になっています。

一度に全ての霊場をまわらなければならないのか?

四国遍路には興味があるけれど、八十八か所霊場をすべて巡るのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

車や自転車を使ったとしても四国をぐるりと一周するにはとても体力が必要ですし、日数もかかります。
体力も時間も惜しい現代人にとって、四国八十八か所霊場を一度に巡るのは困難なことです。

ですが、一度に全ての霊場をまわる必要はありません。
一度に全ての霊場をまわることを「通し打ち」と呼びますが、何回かに分けてまわる「区切り打ち」や一国ごとにまわる「一国打ち」など、さまざまなスタイルがあります。
忙しい現代では、「区切り打ち」などで少しずつ霊場を巡る人も多いそうです。

また、1番から88番までの番号順に巡る必要もありません。
番号順に巡ることを「順打ち」、88番から1番へ逆の順番で巡ることを「逆打ち」と呼び、どこから始めても良いことになっています。

また、何らかの事情で四国に行けないという方も、霊場の砂を踏みながら写し仏をお参りする「お砂踏み」でもご利益は変わらないとされ、古くからこれを用いた「写し霊場」が全国各地に設けられました。

愛知県の知多四国霊場に代表されるように、狭い範囲に四国八十八か所霊場を模した霊場を設けてお参りするという場所も全国にあります。

四国遍路と高野山

四国八十八か所霊場を巡った後は、和歌山県にある高野山にお参りするという習わしがあります。
八十八か所を巡礼し終えることを「結願する」と言い、そのことを弘法大師に報告し、「同行二人」の感謝を伝えに行くのです。

弘法大師が開いた真言密教の聖地として名高い高野山は、117もの寺院を有する世界的に見てもかなり大規模な宗教都市。
高野山では現在でも弘法大師が生きて修行を続けていると言われており、奥之院の弘法大師御廟へお参りして結願を報告します。

高野山も日本の信仰の原点を感じられる場所なので、ぜひ一度は訪れたいものです。

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