日本のはじまりと深い関わりがある伊勢神宮がある三重県・伊勢。
天照大神も美しい国だと称えた伊勢には、清らかな五十鈴川や美しい景観、そして美味しいものがたくさんあり、さまざまな魅力が詰まっています。
大阪や名古屋からのアクセスも大変良いので、気軽に観光できるエリアです。
本記事では、伊勢の歴史とお伊勢参りについてご紹介していきたいと思います。
神話の国・伊勢
国生みの神話に登場する伊耶那岐命(いざなぎのみこと)の左目から生まれたと言われる天照大神(あまてらすおおみかみ)。
「日本書紀」などの日本神話に関する書物によると、11代・垂仁(すいにん)天皇の御代のころ、伊勢の地を気に入られて、五十鈴川の川上に位置する自然豊かで美しい場所を御鎮座地にお定めになりました。
これは一説には2000年も前の出来事であるとも言われており、伊勢の神秘と悠久の歴史を感じられるエピソードかと思います。
ここでは、伊勢のまちと伊勢神宮の歴史に触れながら、その魅力について掘り下げていきたいと思います。
伊勢のまちと人々の伊勢神宮への信仰
まさに日本のはじまりと関わりの深い伊勢神宮は、私たち日本人のふるさととも言えるような場所であり、古くから人々の信仰を集めてきた神社。
江戸時代には、「伊勢へ行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」という伊勢音頭とともに、伊勢への「御蔭参り」が大流行しました。
私たちが「一生に一度はお伊勢参りをしてみたい」と思うように、昔の人々にとっても伊勢神宮は特別な場所であったのです。
平安時代になると神事のために伊勢に派遣される勅使の随行などを中心に口コミが広まり、鎌倉時代にはすでに多くの参拝客でにぎわっていました。
平清盛、足利義満、織田信長など、歴史上の英雄も伊勢神宮に参拝したそうです。
江戸時代に入ると、伊勢神宮への参拝には通行手形が要らなかったことから、民衆の間で伊勢へ参拝に行くことを目的とする旅行、いわゆる「御蔭参り」が何度か大ブームになります。
この時期に日本を訪れたドイツ人医師・シーボルトも、伊勢詣でに向かう人々の多さに驚いて日記に書き記しているほどです。
伊勢神宮の檀家数も440万軒と、当時の日本の人口が3000万人ほどであったことを考えると大変多かったことがわかります。
「御蔭参り」ブームの影響もあり、伊勢のまちは次第に観光地化され、グルメ、宿泊、さらには遊郭まで、さまざまな面でにぎわいを見せるようになりました。
忙しくて旅行に行く時間がない人は、犬を伊勢に遣り、代わりにお祓いをしてもらうこともあったそう。
お金が入った袋を下げた犬は見てすぐにそれとわかるような恰好をしていたので、道々の人々の助けを借りながら飼い主の代わりを果たしていました。
想像してみると何ともほほえましい光景ですね。
「内宮」だけの参拝は非常識?
伊勢神宮には、「外宮」と「内宮」があることはご存知でしょうか。
大小さまざまな社がある伊勢は、どうやってお参りをするのが正しいのかわからないという方も多いかと思います。
「内宮」だけにお参りするのは非常識なのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実は「外宮」にお参りする方というのは「内宮」にお参りする方の半分程度です。
特に日帰りで参拝する方は、「外宮」まで足を延ばす時間が取れないことも多いでしょう。
神事では「外宮」から祭儀が行われますから、基本的には「内宮」よりも先に「外宮」に参拝する習わしになっています。
また、土地の神様や荒御霊をお祀りする別宮にも注目。
お時間がある方は、「外宮」から参拝し、あわせて「別宮」にも参拝してみてください。
「外宮」について
天照大御神の御饌都神(食事を司る神)である豊受大御神をお祀りする「外宮」は、まさに食の神様。
松坂牛や牡蠣など、伊勢の美味しいものは豊受大御神のおかげでできているのかもしれません。
「外宮」の敷地内にある「せんぐう館」は、1300年続く式年遷宮について学ぶことができる博物館。
外宮正殿の原寸大模型など、貴重な展示がたくさんあるので、見応えも十分。
「外宮」参拝の際はぜひお立ち寄りください。
「内宮」について
皇室の祖である天照大御神をお祀りする「内宮」は、社へ参拝するのが大きな目的ではありますが、境内の自然の美しさも格別です。
巨木に囲まれた参道は夏でも少しひんやりとしており、厳かな雰囲気を醸し出しています。
参道の右手の斜面を降りたところにある石畳が敷き詰められた御手洗場は、手水舎と同じように手を清めることができる場所。
澄んだ五十鈴川に手を浸すと、身も心も清められるような心地がします。
時を止めたかのような美しい自然に囲まれると、心安らかに自分と向き合えるような気がします。
「おはらい町」と「おかげ横丁」
さいごは、「内宮」の宇治橋前から猿田彦神社へ続く通りにある「おはらい町」と、その中程にある「おかげ横丁」をご紹介したいと思います。
「おはらい町」は約400メートル続く石畳の道沿いにさまざまなお店が並んでおり、お食事もお土産選びも楽しむことができます。
レトロな町並みを抜けると五十鈴川のほとりに出ることができるので、川沿いをのんびりと散歩するのも良いですね。
伊勢名物「赤福」の本店あたりから続く一層にぎわっている通りが「おかげ横丁」。
江戸から明治にかけての建物が移築されており、ショッピングやグルメとともに写真撮影なども楽しむことができます。
どちらもお伊勢参りには欠かせない観光スポット。
最近はおしゃれなスイーツ店やアクセサリー店も多いので、女子旅にもおすすめです。