それぞれの地域の歴史や文化が詰まっているお城。
観光地として整備されているところも多く、旅行の際に立ち寄ることも多いのではないでしょうか。
なんとなく写真を撮って終わり、という方もいらっしゃるかもしれませんが、お城は事前に歴史や見どころを知っておくと、何倍も楽しく観光できます。
本記事では、中国・四国地方の名城をいくつかピックアップしてご紹介していきたいと思います。
中国・四国地方の名城
都からも近く、水運も発達していた中国・四国地方。
戦略的にも重要な地域で、数々の名城が築かれてきました。
また、中国・四国地方は天守が現存する12のお城のうち6つがそろっており、非常にお城観光が充実している地域です。
ここからは、中国・四国地方の名城を一つひとつ見ていきましょう。
中国地方
鳥取城(鳥取県)
豊臣秀吉による「鳥取城の飢え殺し」で知られているお城。
いわゆる兵糧攻めで、食べるものがなくなった鳥取城内では人馬の死肉ですら喰らう悲惨な状況であったという記録が残っています。
江戸時代に入ってからは池田光政が鳥取を治め、城郭も大規模な城郭へと改修しました。
光政は姫路城を築いた池田輝政の孫であり、築城の際には姫路城に携わった職人が多く起用されたことから、姫路城の弟城とも呼ばれています。
建物こそほとんど残されていませんが、さまざまな時代の城郭を今に伝える貴重な遺構です。

秀吉が行った凄惨な兵糧攻めがあまりにも有名な鳥取城。 一切の食糧補給路を断たれた城内は、言葉では言い表せないほどひどい状態であったようですが、そこまでしなければとても攻め落とせないような堅牢な城であったと見ることもできます。 戦国時代から江戸時代にかけて幅広い時代に築城工事が行われた鳥取城は...
松江城(島根県)
天守が現存しており、国宝に指定されているお城。
もともとこの地域にあった山城である月山富田城は非常に守りの堅いお城で、何度も敵を退けた名城ですが、近世のお城の在り方としては立地が不便なため、湖畔に松江城が築城されました。
宍道湖の湖畔に築かれたお城で、周辺の風景や天守からの眺めも最高です。

国内に12しかない現存天守のひとつであり、さらにその中でも5つしかない国宝天守でもある松江城の天守。 松江城は近世城郭を代表する防御機能の高さと藩政における利便性を兼ね備えた名城で、現存する天守のなかでも2番目に広く、3番目に高い天守を有しています。 江戸時代の雰囲気が残る塩見縄手のまち...
岡山城(岡山県)
その漆黒の外観から「烏城」と呼ばれることもあるお城。
暗殺によってのし上がった宇喜多直家の息子・秀家が築いたお城です。
復元された天守は歴史博物館になっており、磯田道史先生のわかりやすい解説で岡山城や岡山の歴史を学ぶことができます。

漆黒の天守閣が印象的な岡山城。 岡山市のシンボルであり、「烏城」と呼ばれることもあります。 令和の大改修を終え、美しく生まれ変わった天守閣は必見です。 天守閣の中は博物館になっており、岡山城の歴史や歴代城主についての展示以外にも、写真撮影スポットや子ども向けの体験コーナーなど、歴史をあまり...
備中松山城(岡山県)
「天空の山城」と呼ばれることもある、現存天守のなかでは最も標高の高い場所にそびえるお城。
天守が現存する唯一の山城でもあり、雲海に浮かぶ天守閣、という幻想的な風景を楽しむことができます。
鎌倉時代ごろからすでにその原型となる城があったとされており、現存する天守は17世紀後半に築城されたものです。
大河ドラマのオープニングにも使用されました。
広島城(広島県)
中国の覇者・毛利元就の孫である毛利輝元が築いたお城。
関ヶ原の戦いで西軍の総大将になった毛利氏は江戸時代に入ると転封され、福島氏、浅野氏が治めるようになります。
「鯉城」と呼ばれることもある美しい城で、球団の広島カープの名はここから取られています。

広島駅からほど近い場所にある広島城。 山城や平山城とは異なり平地に建てられた平城で、上り下りが少なくスムーズに観光を楽しむことができます。 一般に平城は防御力が防御の点において劣ると言われていますが、戦乱の世が落ち着いた時代に建てられた代表的な近世城郭である広島城は、まさに平和な時代を象徴す...
四国地方
松山城(愛媛県)
天守が現存しており、国の重要文化財に指定されているお城。
豊臣秀吉の子飼いの将である加藤喜明が築城し、最終的には松山藩主・松平氏が治めました。
明治時代に火災で焼失してしまい、現存するものは昭和に行われた大規模な復旧工事によってよみがえったものです。
櫓、門、塀などは当時のまま残されており、重要文化財に指定されています。
愛媛県の市街地にあるお城なので、天守が現存するお城のなかでも非常にアクセスが良好です。

国内に12しかない現存天守のひとつを有する松山城。 そのなかでも7つしかない、国の重要文化財に指定されている天守は、姫路城とあわせて2つしか現存しない連立式と呼ばれるかたちをしています。 松山城は、江戸時代に入り城郭建築に制限がかかり大規模なお城を築くのが難しいなか、最後に築城された大天守を...
宇和島城(愛媛県)
こちらも天守が現存しており、国の重要文化財に指定されているお城。
全国各地の名城の建造に携わった築城の名手・藤堂高虎が居城としていたことでも知られています。
地形を巧みに利用した海城で、築城された当初は半分海に浮かんでいるようなお城であったそうです。
藤堂氏が移封となった後は、伊達政宗が廃嫡した秀宗の子孫が代々治めています。

宇和島城は9代にわたり宇和島の地を治めた宇和島伊達家の居城です。伊達家以前に宇和島を治めていた藤堂高虎が城郭の土台を作った堅牢な城で、城郭構造の随所に工夫が見られます。また、伊達氏が築いた建物は、大坂の陣後の平和な時代にふさわしく芸術的な装飾が施され、見応えがあります。本記事では、宇和島城の歴史と見...
高知城(高知県)
日本で唯一、天守と本丸御殿の両方が現存しているお城で、国の重要文化財に指定されています。
土佐藩主・山内氏が治めたお城です。
戦国武将・山内一豊が築城しましたが火災で焼失したため、現存するものは18世紀前半に再建されたもの。
江戸時代に再建されたお城にしては、かなり実践を意識して築城されており、非常に見ごたえのあるお城になっています。

天守や本丸御殿など、おもだった本丸の建物が現存する全国でも貴重な高知城。「鷹城」の異名を持つ美しい高知市のシンボルです。山内一豊が築いた高知城は、その堅牢さや構造の珍しさからかなり見ごたえがあり、お城に詳しくない方でも楽しめる県内屈指の観光スポットです。本記事では、高知城の歴史と見どころについて紹介...
丸亀城(香川県)
天守が現存しており、国の重要文化財に指定されているお城。
讃岐丸亀藩主・京極氏が治めていました。
三ノ丸、二ノ丸、本丸と内側へ行くにしたがってどんどん高くなっていく高石垣が特徴。
そびえ立つ高石垣は遠くから見ても圧倒されますが、近くで見上げるとかなり迫力があります。
また、お城に宿泊する「城泊」も行われているそうなので、興味のある方は調べてみてください。

国内に12しか現存しない木造天守が残る丸亀城。 天守ももちろん見ごたえがあるのですが、丸亀城最大の特徴が高くそびえる石垣。 日本最大の高さを誇り、地上から見るとまさに「城壁」という言い方がふさわしいような迫力に満ちています。 電車やバスでのアクセスも良く、観光しやすい場所にあるのも魅力...
まとめ
中国・四国地方の名城をご紹介しました。
その地域の歴史や文化が凝縮した建築物であるお城には、非常に多くの魅力があります。
次のお休みは、各地の名城へ旅行に行ってみませんか。