シルクロードの終着点で紡がれた日本食の原点―奈良県の食文化・ご当地グルメ

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シルクロードの終着点で紡がれた日本食の原点 奈良県の食文化・ご当地グルメ

およそ1300年前に都が置かれていた奈良県。
当時の日本は中国の王朝・唐の文化を吸収しつつ、それを日本風にアレンジして昇華させていくという作業が、政治、宗教、学問など、さまざまな分野で行われてきました。

もちろん食に関しても同様です。
異文化から学び日本の慣習や風土に合わせてアレンジしていった結果、今の日本の食文化の原点が奈良の地で生まれたと言っても過言ではありません。

本記事では、奈良県の食文化やご当地グルメについてご紹介していきたいと思います。

奈良と日本食のはじまり

飛鳥時代や奈良時代には、遣唐使や渡来人によってさまざまな文化が持ち込まれた奈良。
大陸の文化や技術の導入により、日本食の文化が花開いていきます。

お茶、うどん、清酒、まんじゅう、豆腐など、さまざまな食べ物のルーツが奈良にあるとされており、まさに和食のはじまりの場所なのです。

今で言う大学や企業のような役割を持った寺社仏閣がたくさんあったことも、食文化が発展していった所以なのかもしれません。
悠久の時を歩んできた文化財と、豊かな自然、そして現代の文化が調和する奈良県では、食においても古今が共存しており、伝統的な料理が今も食べ継がれています。

地域ごとの特色

まずは、奈良県の食文化の特色を地域ごとに見ていきたいと思います。

県の面積の4割弱を占める奈良盆地は、大変アクセスが良く多くの人々が住むエリアです。
農作物の栽培も盛んで、稲作と畑作を年単位で交互に行っており、いちご、すいか、柿、各種野菜などが育てられています。

県北東部の大和高原では「大和茶」の栽培が盛ん。
冬の厳しい冷え込みを利用して、高野豆腐やかき餅が現在も作られています。

吉野や十津川流域は、山々が広がる山岳地帯で、林業が盛んなエリア。
山菜や木の実などのほかに、川で穫れる鮎が名物です。

現在は人口の約9割が奈良盆地に密集していることもあって、県内各地の料理のほとんどは主要観光地周辺でいただくことができます。

そこでこれ以降は、地域に関わりなく奈良県に訪れた際にはぜひとも食べておきたい郷土料理やご当地グルメ、スイーツなどを見ていきたいと思います。

奈良県の郷土料理・ご当地グルメ

奈良県の郷土料理やご当地グルメは、基本的に素材の味と出汁の風味を活かした関西風のやさしい味付けのものが多いです。
奈良の長い歴史のなかで大切に食べ継がれてきたものから、なかにはこってりとしてパンチの強いものまでさまざま。

この項では、奈良県の郷土料理やご当地グルメ、名物などをご紹介していきたいと思います。

柿の葉寿司

まずはお土産や駅弁などでもよく見かける「柿の葉寿司」。
酢飯に鯖や鮭の切り身を載せて押し固めた押し寿司の一種で、殺菌効果のある柿の葉で包んであります。
柿の葉の香りと風味が酢飯や魚とよく合います。

三輪そうめん

言わずと知れた奈良県の特産品「三輪そうめん」。
桜井市はそうめん発祥の地とされており、醤油のもととなった「ひしお」が古くから造られているこの地域では特にあたたかい「にゅうめん」で食べることが多いようです。

大和茶

空海が持ち帰ったお茶の種からはじまった大和高原での「大和茶」の栽培は、日本のお茶の起源であるとも言われています。
少し甘みのある上品な味わいが特徴で、最近では煎茶やほうじ茶としてだけでなく抹茶スーツやほうじ茶スイーツを提供するお店も増えています。
「ならまち」の風情ある古民家でお茶をするのも良いですね。

茶がゆ・茶めし

古くから「大和茶」の栽培が盛んであり、一般にも早い段階からお茶を飲む習慣が広まった奈良では、茶葉を入れて作るさらりとした「茶がゆ」や、茶葉と大豆でご飯を炊いた「茶めし」が家庭でも食べられてきました。
特に「茶めし」は「東海道中膝栗毛」にも登場する全国的に知名度の高い名物料理です。

天理ラーメン

奈良のご当地グルメと言えば「天理ラーメン」。
その名の通り天理教の信者や天理大学の学生に向けて開発されたものだそうで、豚骨や鶏ガラベースの出汁にニンニクやニラを利かせたパンチのある一品です。

奈良県のおすすめスイーツ

ではさいごに、奈良県で食べることができるおすすめスイーツをご紹介したいと思います。

吉野葛

全国的にも有名な「吉野葛」。
奈良では、「吉野葛」を使用したくず餅やくず切りが名物になっています。
滑らかでほのかに甘みのあるくず餅とつるりとした食感のくず切りは、黒蜜やきな粉によく合います。

柿・いちご

前述のとおり柿やいちごの栽培が盛んな奈良盆地。
そのままでいただいたり贈答品にしたりするのはもちろん、それらを使ったスイーツもおすすめです。

かき氷

氷室の神様をお祀りする氷室神社がある奈良県。
貴族たちは夏になると、平城京に献上された氷を薄く削って「あまづら」と呼ばれる甘味料をかけて食べ、涼を取っていたのだとか。
氷室神社を中心に氷にゆかりのある奈良では、かき氷の名店が勢ぞろい。
舌触りや素材にこだわった進化系かき氷をぜひ堪能してみてください。

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