8世紀から明治維新まで、実に1000年以上も都であった京都。
全国各地からさまざまな文化や食材が集まり、豊かな食文化が花開きました。
また、洛中だけでなく、京都市外でも各地の自然を活かした郷土料理が根付いています。
伝統料理だけでなく、新しいもの好きの京都人ならではの目新しいご当地グルメも充実している地域です。
本記事では、京都府の食文化やご当地グルメについて紹介していきたいと思います。
それぞれの文化に応じて発展した食文化
京都は古くから、政治、文化、宗教の中心地として栄えてきました。
京都の食文化の根本にあるのは、「五体系」と総称される5つの料理であると言われています。
公家や貴族たちの華やかな文化の中で育まれた「大饗料理」、僧侶たちが食に関する戒律の範囲内で美食を追求した「精進料理」、武家社会のもてなしに用いられた「本膳料理」、茶の湯の文化から発展した「懐石料理」、そして平安時代から続く伝統的な料理と「本膳料理」を組み合わせた「有職料理」です。
それらの食文化をベースに今日の京料理、ひいては和食の文化があります。
権力階級だけでなく、京の市井の民もさまざまな郷土料理を育んできました。
ここでは京都府を、京都市内、丹後エリア、中丹・南丹エリア、山城エリアの4つに分けてそれぞれの食文化やご当地グルメを見ていきたいと思います。
京都市内
まずは、「京都」と聞いて多くの方が思い浮かべるような伝統的な町並みが広がる京都市内から。
長きにわたり都としての機能を果たした平安京ですが、防御などの観点から周りを山に囲まれており、新鮮な魚介類を手に入れることは困難でした。
そのため、乾物や塩漬けといった加工品の魚が多く出回っており、「ふろふき大根」や「にしん茄子」など、味の濃い魚とさっぱりとした野菜を組み合わせて食べる文化が生まれ、今でも料亭や家庭で食べ継がれています。
甘い西京味噌で魚を漬けた「西京漬け」やそれを焼いた「西京焼き」といった京料理の定番も、魚を保存するための方法として平安時代に編み出されたそうです。
また、京都は全国的に有名なラーメン・中華料理チェーンをいくつも生み出した場所。
チェーン店の本店や、さまざまなジャンルのラーメン屋をはしごしてみるのも面白いかもしれません。
お土産には、「生八つ橋」や抹茶スイーツ、伏見の日本酒などが定番です。
丹後エリア
京都府の北部に位置し、日本海に面した丹後エリア。
天橋立や伊根の舟屋などの観光地があるエリアです。
古くから漁業が盛んで、丹後とり貝、丹後ぐじ、ブリ、サバ、ズワイガニといった新鮮な魚介がたくさん獲れます。
なかでもサバは庶民に広く親しまれている魚で、地元では刺身で食べることもあるそう。
焼いてほぐしたサバを酢飯で挟んだ押し寿司の一種である「ばら寿司」はお祭りやお祝い事などの際に食べられている郷土料理。
個性的なご当地グルメとしては、地元の中華料理店が始めたとされる「宮津カレー焼きそば」があり、お店によって麺の太さ、辛さ、具材などにバリエーションがあるそうです。
中丹・南丹エリア
丹波山地と日本海に囲まれた中丹エリア。
古墳や古くからの寺院などがたくさんあり、人々の営みや信仰が長く息づいていることがわかるエリアです。
伝統的な京野菜である「万願寺とうがらし」が有名で、天ぷらや野菜炒めなど、京都の食卓を彩っています。
スイーツのまち・福知山では地元で採れる丹波の栗を用いたモンブランなど、洋菓子を扱うおしゃれでかわいいお店がたくさんあるので、興味がある方はスイーツめぐりにも行ってみてください。
京都府内でも山間部に位置する南丹エリアは、のどかな田園風景が広がるどこか懐かしい地域です。
山間部に出没する獣の代表格と言えばイノシシですが、南丹エリアは兵庫県の丹波篠山エリアとともにイノシシを食べる習慣があります。
イノシシを野菜とともに味噌で煮込んだ「牡丹鍋」はこの地域の名物です。
また、全国的にも有名な「キヌヒカリ」や「丹波黒大豆」、「丹波大納言小豆」の産地でもあります。
山城エリア
さいごは「宇治茶」で有名な山城エリア。
宇治での茶の栽培は鎌倉時代から続けられており、その手法はのちに全国の茶畑で参考にされました。
京都市内でもさまざまな抹茶スイーツが販売されていますが、産地でいただく抹茶スイーツはまた違った味わいであると思います。
スイーツだけでなく、ご飯や蕎麦などにもお茶を混ぜて食べることがあるそうです。
里芋の一種である「えびいも」もこの地域の特産品として有名。
「えびいも」と棒鱈を炊き合わせた「えびいもと棒だらの炊いたん」は、素朴で優しい味わいの郷土料理で、「えびいも」の独特なねっとりとした食感が活かされた一品です。
まとめ
京都府の食文化やご当地グルメをご紹介しました。
京都市内だけでなく、各地域で独自の食文化が根付く京都には、美味しいものがたくさんあります。
京都府に訪れた際には、ぜひ美味しい京料理も堪能してください。