琉球王朝時代を象徴するグスク。
そのなかでも最も広く知られている首里城は、沖縄が辿ってきた歴史や、それが育んだ華やかな文化が感じられる定番観光スポットです。
首里城以外にも、県内には魅力あるグスクがたくさんあります。
本記事では、グスクや琉球王朝の歴史に触れつつ、首里城を筆頭にグスクの見どころなどをご紹介していきたいと思います。
グスクとは?
まず、グスクとは何かについて簡単に見ていきたいと思います。
12~16世紀ごろに沖縄本島周辺で造られた城郭要塞をグスクと呼びます。
地域によって呼び名が異なり、奄美では「城館」、先島では「スク」と呼ぶこともあるそうです。
グスクは後宮や行政の場としてだけでなく、信仰のための聖域である「御嶽(うたき)」が併設されているところも多いのが特徴。
中国やヨーロッパのお城のような壁のように長く積まれた城壁があり、沖縄の自然と調和している姿も魅力的です。
琉球王国という独立王国が歩んできた歴史の中で形作られていったグスクは、本州とは役割も構造も異なる特徴を持ちます。
お城に詳しいという方も、グスクには多くの新たな発見を見出せるはずです!
首里城と琉球王朝の歴史
まずは、琉球王朝の歴史と特に関係が深く、多くの人が訪れる沖縄観光の定番観光スポットである首里城について見ていきたいと思います。
首里城の築城時期は、13~14世紀であると推測されています。
このころの琉球は「三山時代」と呼ばれる、本州での戦国時代のような争いの絶えない時代でした。
首里城を拠点とした中山勢力であった尚氏は15世紀に三山統一を果たし、琉球王国を建国。
首里城はその後何度か改修や拡張が行われ、現在に至ります。
首里城は全体的に中国の文化に大きく影響を受けたお城ですが、書院造の部屋や庭園など、日本の影響を受けた部分も。
後宮と行政のエリアが分けられており、御嶽も設けられています。
2019年の火災によって正殿を焼失してしまいましたが、2026年の復興完了に向けて順調に作業が進められています。
再建中の様子は今しか見ることができないので、ぜひ復興完了前の首里城にも訪れてみてください。
今帰仁城
ここからは首里城とともに世界遺産に登録されているグスクを見ていきましょう。
今帰仁(なきじん)城は三山のうちの北山を治めた権力者が拠点としていたお城。
三山統一後は中山から派遣された監守が入城しました。
それから数世紀後、今帰仁城は薩摩軍の猛攻に遭い炎上してしまいます。
監守が引き上げた後は人々の信仰を集める聖域としての役割も果たしている場所です。
出城や集落跡も発見されており、史跡としての価値も非常に高いと言えるでしょう。
建物は残されていませんが立派な城壁を見学することができ、本州のお城の城壁との違いを堪能することができます。
近くに美ら海水族館があるので、観光の合間に足を延ばしてみるのも良いですね。
また、今帰仁城は1~2月になるとカンヒザクラが咲き誇る桜の名所としても知られています。
中城
琉球王国の中城按司(あじ。琉球王朝における位のひとつで、地方の支配者)が築いたと言われているグスクです。
数あるグスクのなかでも特に往時の姿を留めており、鍛冶屋跡や遙拝所跡など、さまざまな遺構を見学することができます。
料金所から正門までは少し遠いのでカートに乗って無料で送迎してもらうことが可能です。
美しさと強固さを兼ね備えた中城の城壁が青い空や海に映え、雄大な景色が広がる絶景スポットでもあります。
空港から車で40分とアクセスも大変良いグスクです。
勝連城
王朝に最後まで抵抗していた按司・阿麻和利(あまわり)が拠点としていたことで知られる勝連(かつれん)城。
中国との交易で栄えた勝連城一帯は京の都に匹敵するほど活気があったと言われており、東アジア諸国の焼き物や瓦、さらにはこの地域よりも南に生息するオウムの骨も発掘されています。
自然の断崖を利用して造られた城塞は難攻不落とも言われており、頂上からは青く輝く海を一望できる絶景スポットです。
この美しい海を阿麻和利も眺めていたのかもしれません。
座喜味城
三山統一後に護佐丸(ごさまる)が築いた座喜味(ざきみ)城。
当時の築城技術がこれでもかというほど詰め込まれており、かなり年密に実践が想定されている軍事要塞です。
城壁からの眺望は素晴らしく、天気が良ければ首里城を含む那覇市内を一望できることも。
沈みゆく夕日が美しい場所としても知られています。
宇江城
さいごに、世界遺産には含まれていませんが、最も高い場所に築かれたグスクである宇江(うえ)城をご紹介したいと思います。
沖縄県の離島・久米島にある宇江城は15世紀に築かれたと言われており、琉球統一の際に廃城になったもののその原型を留めています。
標高310メートルの場所に築かれており、お城からは海と豊かな自然を見ることができます。
久米島へ訪れる際はぜひ宇江城にも立ち寄ってみてください。