幻の天下人の城―大阪城の歴史と見どころ

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幻の天下人の城 大阪城の歴史と見どころ

豊臣秀吉の居城として知られる大阪城。
その広大な敷地と立派な天守閣からは太閤秀吉の権威が感じ取れます。

秀吉のイメージが強い大阪城ですが、実は豊臣時代の城に関する記録はほとんど残っていません。
まさに幻の城とも言えるのです。

本記事では、大阪城の歴史と見どころについてご紹介していきたいと思います。
なお、江戸時代ごろまでは「大坂」という表記が一般的ですが、ここでは紛らわしいので「大阪」で統一したいと思います。

大阪のシンボル・大阪城

その規模の大きさと豪奢な天守閣から、大阪のシンボルのひとつにもなっている大阪城。
現在天守閣は鉄筋コンクリートで再建されており、中は博物館になっています。

また、大阪城公園は桜の名所としても知られており、特に西の丸公園はお堀とソメイヨシノのコントラストが美しい写真スポットです。

市民に開放されているエリアではスポーツを楽しんだり昼寝をしたりと、皆さん思い思いに過ごしています。
野球場や大阪城ホールも併設されているので、お城の内部に入ったことがないという方も、観戦やライブなどで訪れたことがあるのではないでしょうか。

豊臣秀吉が実権を握った時代から今日まで、目まぐるしく変わる大阪のまちを見守ってきた大阪城。
その遺構や歴史からは、心惹かれずにはいられないロマンが詰まっています。

石山本願寺から大阪城へ

大阪城ができる前、この場所には石山本願寺と呼ばれる寺院の一大勢力がありました。

お寺とはいえやはり戦国の世、浄土真宗の総本山でもあった石山本願寺には、講堂や伽藍だけでなく堀や土塁なども備えた巨大な防御要塞でもありました。
戦国時代は、時に戦国武将同士の争い以上に恐れられるほど寺院勢力が力を持った時代。

あの織田信長も幾度となく寺院勢力と対立しますが、なかでも石山本願寺には手を焼きます。
堀や土塁の内側には寺内町も取り込んでおり、まさに総構えのような構造になっていた石山本願寺は、籠城に強い構造だったのです。

石山合戦は11年にも及ぶ長期戦で、その間信長は幾度も裏切りなどの危機に見舞われることとなります。
そんな強固な守りを誇る石山本願寺の跡地をうまく利用したのが秀吉の大阪城。

豊臣時代の大阪城については近年発掘調査が進んでいるものの、実はわからないことが多いようです。

天守閣の外観は屏風に描かれているものがわずかに残るのみで、その信憑性も定かではありませんが、とにかく巨大で守りの堅い城であったことには違いありません。
記録によれば、豊臣時代の大阪城は堀が二重になっており、その中に町、政庁、軍事のすべてが詰まった近世城郭・城下町の完成形であったことがうかがえます。

徳川時代の大阪城

大坂の陣で堀が埋められ、建物も炎上してしまった大阪城。
大阪の地は江戸幕府の直轄領となり、西の外様大名へにらみを利かすための新たな城が築かれることとなりました。

築城のために全国各地の大名が動員され、天守閣の高さや堀の深さは豊臣時代のものよりもはるかに大きいと言われています。
この際、豊臣時代の遺構はすべて土の中に埋められてしまいました。

10年近い年月をかけて完成した徳川時代の大阪城は、火薬庫の爆発や落雷などで十数年後には大天守が焼失。
その後も幕末の争乱や空襲などで建物の大部分は失われてしまいます。

今の天守閣の外観は豊臣時代のもの?徳川時代のもの?

大阪城の現在の天守閣は、昭和に入ってから鉄筋コンクリートで再建されたものです。
費用は市民からの寄付で賄われ、総額は150万円(現在の価値に直すと750億円ほど)にものぼったと言われています。

この再建計画は豊臣時代の天守閣を復活させることが目的であったようで、当時はまだ残っていた広島城や名古屋城の天守閣なども参考にしつつ当時の学問や技術の粋を結集して造っていったようです。

屏風に描かれた豊臣時代の天守閣が黒塗りであったこと、徳川時代の天守閣が白塗りであったことなどから、現在の天守閣は上層部分と下層部分で考証ミスが生じていたのではないかとの見方もあります。

しかし、屏風絵は史料として絶対的なものではないので、それに惑わされずにしっかりと考証した点をむしろ評価するという見方もあります。

大阪城の見どころ

ではさいごに、大阪城の見どころを簡単にご紹介していきたいと思います。

大手門

高麗門様式の大阪城の正門。
江戸時代の初めごろに造られたものを何度か改修しています。

天守閣

鉄筋コンクリート造の天守閣。
中は博物館になっており、秀吉の「黄金の茶室」が再建されているほか、企画展にも力が入っています。

焔硝蔵

壁、床、天井がすべて花崗岩と漆喰で覆われた特徴的な外観の焔硝蔵。
17世紀後半に造られたとみられています。

乾櫓

西の丸にある隅櫓・乾櫓。
総二階造りといって、1階と2階の床面積が同じになっている大変珍しい構造をしています。

金蔵

防火装置や盗難防止装置が随所に見られる金蔵。
美しい生子壁が目を引きます。

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